1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680683
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70182821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
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Keywords | 補酵素 / 分子進化 / ピリドキサルリン酸 / 立体化学 / アミノ基転移酵素 / リアーゼ / グルタミン酸ラセマーゼ |
Research Abstract |
本研究では、補酵素依存性の酵素を、高分子であるタンパク質と低分子である補酵素からできた一つのシステムと考え、この酵素(蛋白質)-補酵素システムの成立と分子進化の過程をピリドキサルリン酸(PLP)に依存する酵素反応の立体化学から考察した。PLP酵素の反応では、反応中間体として、基質アミノ酸とPLPのカルボニル基のC-4'の間にシッフ塩基が形成される。PLP酵素の多くは、この中間体の基質アミノ酸部分のC-2と補酵素のC-4'の間で、基質α-水素の転位反応を触媒するが、この水素転移の立体特異性を解析した結果、水素転移反応は、補酵素のピリジン環平面のどちらか片側で立体特異的に進行する場合と、非特異的に両面上で進行する場合の3つがあり、水素転移反応の立体特異性を同じくする酵素のタンパク質は、一次構造上、三次構造上の相同性を示すことを見出した。一方、同種の反応を触媒する酵素でも、この立体特異性が異なればタンパク質構造上の相同性も低く、異なるタンパク質ファミリーに属するものと考えられた。水素転移の立体特異性は、転移反応の触媒基と補酵素の空間的位置関係など、酵素タンパク質と補酵素の結合様式を反映する。よって、PLP酵素には補酵素との結合様式が異なる少なくとも3種類の祖先酵素が存在し、それぞれが独自の分子進化を遂げてきたものと考えられた。一方、上記の概念の延長上に、反応性に富む低分子化合物をタンパク質に結合させ、その化合物の反応性を制御し、新たな機能を持ったタンパク質-補酵素システムを作出するという構想を得た。本研究では、ミオグロビンなどのヘムタンパク質と相同性を示すグルタミン酸ラセマーゼとヘミンの結合について検討し、乳酸菌およびE.coli由来の同酵素が、ヘミンと特異的に結合し、ヘム蛋白質と類似した分光学的特性を示すことを見出した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Jhee,K.-H.: "Stereospecificity of Thermostable Ornithine 5-Aminotransferase for the Hydrogen Transfer in the L-and D-Ornithine Transamination" Biochemistry. 35巻30号. 9792-9796 (1996)
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[Publications] Yoshimura,T.: "Stereospecificity for the Hydrogen Transfer and Molecular Evolution of Pyridoxal Enzymes" Biosci.Biotech.Biochem.60巻2号. 181-187 (1996)
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[Publications] 吉村 徹: "細菌のD-アミノ酸代謝関連酵素の構造と機能の特性" 日本農芸化学会誌. 70巻1号. 15-20 (1996)
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[Publications] 吉村 徹: "D-アミノ酸の役割 生理作用と代謝をめぐって" 現代化学. 12号. 14-19 (1996)
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[Publications] Liu,L.: "Cloning and Expression of the Glutamate Racemase Gene of Bacillus pumilus" Journal of Biochemistry. 121巻6号. 1155-1161 (1997)
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[Publications] Lim,Y.-H.: "Nonstereospecific Transamination Catalyzed by Pyridoxal Phosphate-dependent Amino Acid Racemases of Broad Substrate Specificity" The Journal of Biological Chemistry. 273巻7号. 4011-4015 (1998)