1996 Fiscal Year Annual Research Report
Lipid Peroxidationにおける一酸化窒素の生理的役割
Project/Area Number |
08680685
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 一雄 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (30116032)
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Keywords | 一酸化窒素 / ペルオキシラジカル / 脂質過酸化 / グルタチオン / パルスラジオリシス |
Research Abstract |
本研究では生体内脂質過酸化反応における一酸化窒素の役割を明らかにすることを目的として,脂質過酸化反応の中間体であるペルオキシラジカルとNOの反応過程をパルスラジオリシス法により追跡した。ペルオキシラジカルのモデル化合物として,酢酸由来のペルオキシラジカルとNOとの反応過程を調べた。この系ではO_2が生成するので,SODを添加した。パルス照射後300nmの吸収が増加し,酢酸ペルオキシラジカルとNOとの反応過程を直接観測した。酢酸ペルオキシラジカルの380nmにおける酢酸ペルオキシラジカルの消失より,生成速度は2x10^9M^<-1>s^<-1>を求めた。この値はperoxynitriteの生成速度とほぼ同じ値を示す。またNO付加物の吸収スペクトルはONOO^-とほとんど変わらないことが分かった。しかしながらONOO^-と異なり,NO付加体は安定で,測定時間領域において消失過程は見られなかった。さらに,生体に関連のあるペルオキシラジカルとして,グルタチオン(GSH)由来のペルオキシラジカル(GSOO)とNOとの反応過程を調べた。同様にして,300nmに吸収極大を持つGSOONOが生成することが分かった。この速度定数として,2x10^9M^<-1>s^<-1>が得られ,また生成物であるGSOONOは安定に存在することが分かった。しかしながら酢酸およびGSH由来のペルキシラジカルのNO付加体が安定であるのに対して,アルコール由来ペルオキシラジカルのNO付加体は2s^<-1>の速度定数で消失した。以上のように,ペルオキシラジカルとNOの反応速度および、その生成物のスペクトルは変わらないものの,そのNO付加体の安定性はペルオキシラジカルにより大きく異なることが分かった。
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