1996 Fiscal Year Annual Research Report
複合イメージングで解析する脳グリア細胞のニューロステロイド合成機構
Project/Area Number |
08680713
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
太田 善浩 東京農工大学, 工学部, 講師 (10223843)
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Keywords | グリア細胞 / 副腎皮質細胞 / カルシウム信号 / ニューロステロイド / シトクロムP450_<SCC> / コレステロール / イメージング / 共焦点顕微鏡 |
Research Abstract |
本年度は、ニューロステロイド合成の分子機構を明らかにするため、複合イメージング装置を用いて「脳グリア細胞が神経伝達物質を受容しニューロステロイドを合成する過程」を単一細胞で可視化解析した。複合イメージング装置とは、同一細胞に対してビデオ顕微鏡+共焦点レーザー顕微鏡の組み合わせイメージングを行う装置である。 この装置を用いて、カルシウム信号と酵素活性を単一副腎皮質細胞で可視化し、副腎皮質刺激ホルモンにより引き起こされる細胞内Ca2_+濃度の周期的増減がステロイドホルモンの合成に必要なことを発見した。また、副腎皮質ミトコンドリアでP450_<SCC>がコレステロールを時々刻々代謝する様子を、蛍光性コレステロールを用いて細胞内で観測することに成功した。副腎皮質細胞はステロイドホルモンを産生する主要な器官であり、グリア細胞のニューロステロイド合成の良いモデル細胞である。 グリア細胞では、重要な神経伝達物質であるグルタミン酸やセロトニンを受容して細胞内Ca2_+濃度が周期的増減を示すこと、また、ミトコンドリアにニューロステロイド合成酵素P450_<SCC>が存在することなどグリア細胞が副腎皮質細胞と共通の機構を持つことを発見した。一方、ニューロステロイドの素材となるコレステロールはグリア細胞では細胞膜に偏って存在するが、副腎皮質では細胞質中に集まっていることも発見した。これはステロイド合成機構がグリアと副腎皮質では一部異なっていることを暗示している。 以上の結果は、国内や国際学会、さらには国際誌で発表し、研究成果として公表している。
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