1997 Fiscal Year Annual Research Report
抑制性アセチルコリン受容体の認識および修飾機構の研究
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08680723
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
長濱 辰文 神戸大学, 理学部, 助教授 (70145001)
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Keywords | 抑制性アセチルコリン受容体 / Cl-チャンネル / Lophotoxin / Bippinatin / ニコチン性受容体 / アセチルコリン認識部位 / アメフラシ / IJP |
Research Abstract |
MAニューロンは、閉口運動ニューロン(JC)にIPSP、閉口筋にIJPを誘発する。これら応答にはニコチン性ACh受容体が関与し、さらに筋の受容体はCl^-チャンネル結合型であることが見い出されている。本研究では、興奮性のニコチン性受容体のACh認識部位へ結合しその働きを抑制するLophotoxinの3種類のanalogue、Bipinnatin-A、B、Cを用いて、抑制性受容体のACh認識機構を詳しく調べることを目的とした。昨年度、MAニューロンが閉口筋に誘発するIJPsへのBipinnatinの作用を調べ、Bipinnatin-BはIJPsサイズを減少させたが、他の2種類では逆に増大させることを報告した。今年度は単離筋細胞にホールセルクランプを行い、ACh誘発応答へのこれら毒物の作用を調べる予定でいたが、作用発現までに長時間を要することから、データが得られなかった。そこで,JCニューロンの抑制性ACh受容体の性質を調べた。まず、JCニューロンを電位固定し、MAニューロンによる電流応答の膜電位依存性を、Cl^-のJCニューロン細胞体内への注入前後で比較した。この結果、Cl^-注入により応答の逆転電位はコントロール値から大きくプラス側へ移行し、この受容体もCl^-チャンネル結合型であることが示唆された。次に単シナプス伝達のみを許す溶液条件でIPSPsのサイズへのこれら毒物の作用を調べた。Bipinnatin-Bの添加でIPSPsサイズは急激に減少した。またBipinnatin-Aでは添加直後に少し増大し、その後緩やかに減少した。一方Bipinnatin-Cでは、添加直後からIPSPsサイズは大きく増大し、コントロールの約2倍にも達した。その後緩やかに減少したが、脱分極性の電位が誘発されるようになった。このようなIPSPsサイズの増大、脱分極電位の発現は興奮性受容体では見られず、抑制性受容体のACh認識部位近傍の構造が興奮性のものと異なることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Nagahama: "Patterned jaw movements and the motor neuron activity during rejection of seaweed in Aplysia kurodai" J.Comp.Physiol.A. (in press). (1998)
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[Publications] T.Nagahama: "Synaptic modulation appeared during rejection of seaweed in Aplysia kurodai." Soc.Neurosci.Abstr.23. 1046 (1997)
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[Publications] 伊藤悦朗(50音順): "軟体動物腹足類における感覚情報処理と連合学習機構" 生物物理. 37. 150-154 (1997)
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[Publications] T.Nagahama: "Patterned jaw movements during rejection of seaweeds in Aplysia kurodai." Soc.Neurosci.Abstr.22. 1405 (1996)
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[Publications] I.Inoue: "Cl^- channels as a cholinergic ACh receptor responsible for generati of inhibitory junction potential in Aplysia buccal muscle cells." Jap.J.Physiol.44. S149-155 (1994)
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[Publications] T.Nagahama: "Acetylcholine-activated chloride channels produce an inhibitory junction potential in buccal muscle cells of Aplysia" Proc.R.Soc.Lond.B. 254. 275-280 (1994)