1996 Fiscal Year Annual Research Report
紫外共鳴ラマン分光法によるチトクロム酸化酵素タノパク部分の動的構造の追跡
Project/Area Number |
08680730
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
小倉 尚志 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所・分子構造研究系, 助手 (70183770)
|
Keywords | チトクロム酸化酵素 / 紫外共鳴ラマン / 生体エネルギー変換 / プロトンポンプ |
Research Abstract |
まず、Ar^+レーザーに82MHzでモードロックをかけ、ピークパワーを高めて、488nmの可視光をBBO結晶に入射し、倍波の244nmを得た。これを疑似連続光源として柴外共鳴ラマン散乱の励起に用いた。次に現有のラマン分光器の改良を行った。すなわと、ラマン散乱光を集めるレンズを通常の石英製両凸レンズから紫外光用対物レンズに交換した。顕微鏡対物レンズは結像性能が高く、本来の光軸上にある物体の像以外はほとんど結像させない。このことにより励起光のセルでの散乱光のスリットへの入射は少なくなりその結果、迷光が大幅に減少した。回転セルは試料の損傷を防ぐために必要であるが、回転中のぶれはスペクトルの質を低下させる。このことは特に紫外領域で重大である。これを克服するため回転中のぶれを最小にする改良を回転セルホルダーに施した。 研究計画に従いまずチロシンおよびトリプトファン水溶液の共鳴ラマンスペクトルをそれぞれpH6.8とpH14で測定し、良好なスペクトルが得られることを確認した。また、可視領域に非常に強い蛍光を発するため測定の難しかったロ-ダミン6Gのエチレングリコール溶液の共鳴ラマンスペクトルも得られた。次にチトクロムc(Mr=12.3kD)水溶液を測定したところ、チロシンとトリプトファン残基に由来する良好なラマンスペクトルが得られた。 本研究の目標であるチトクロム酸化酵素(Mr=200kD)は分子量が大きく迷光による背景光が強かった。迷光除去フィルターの完成に鋭意努力中である。しかしながら現時点でも、1200-1700cm^<-1>領域の共鳴ラマンスペクトルの測定は可能であり、次年度の時間分解スペクトル測定への準備は整った。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] S.Hirota,T.Ogura,K.Shinzawa-Itoh et al.: "Observation of Multiple CN-Isotope-Sensitive Raman Bands for CN-Adducts of Hemoglobin,Myoglobin and Cytochrome c Oxidase" J.Phys.Chem.37. 15274-15279 (1996)
-
[Publications] D.A.Proshlyakov,T.Ogura et al.: "Resonance Raman/Absorption Characterization of the Oxo-inter-mediates of Cytochrome c Oxidase Generated in Its Reaction...." Biochemistry. 35. 8580-8586 (1996)
-
[Publications] T.Ogura,S.Hirota,D.A.Proshlyakov et al.: "Time-Resolved Resonance Raman Evidence for Tight Coupling between Electron Transfer and Proton Pumping of Cytochrome c Oxidase...." J.Am.Chem.Soc.118. 5443-5449 (1996)
-
[Publications] D.A.Proshlyakov,T.Ogura et al.: "Microcirculating System for Simultaneous Determination of Raman and Absorption Spectra of Enzymatic Reaction Intermediates....." Biochemistry. 35. 76-82 (1996)
-
[Publications] T.Kitagawa and T.Ogura: "Progress in Inorganic Chemistry,vol.45 (K.D.karlin ed.)" John Wiley & Sons,Inc., 49 (1997)