1996 Fiscal Year Annual Research Report
酵母細胞同期M期への誘導因子に関する分子遺伝学的研究
Project/Area Number |
08680736
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菊池 淑子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00138124)
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Keywords | 出芽酵母 / G21M停止 / ユビキチン・ライゲ-ス / 復帰変異 |
Research Abstract |
出芽酵母温度感受性tom1変異株はG2期に欠損があるが、他にも染色体の膨潤、核内スピンドルの不安定さ、核輸送、核小体の形態異常が観察された。Tomlpはその塩基配列からユビキチンライゲ-スをコードすると考えられる。温度感受性tom1変異株の偽復帰変異株を300株単離し、その中で同時に低温感受性や、ベノミル感受性、増殖遅延となるものを選択した。さらに変異が1遺伝子性で、野生型に対し劣性であるものが66株あった。相補テストの結果、7相補群に分類され,tmr(tom1 revertant)と命名した。遺伝子をクローニング、塩基配列を決定し、6種同定した。cyr1(アデニレートシクラーゼ)、sch9(Aキナーゼ類似キナーゼ)、mot1(転写リプレッサー)、msi3(熱ショック蛋白)、cdc55(フォスファターゼ2A Bサブユニット)、zuo1(Z-DNA,tRNA結合蛋白)の変異であることが分かった。また、Snyderのバンクを用い、新たに1相補群の変異を単離し、kre6(グルカン合成)であると判明した。RAS-cAMP経路に正に働くcyr1,sch9がtmrとして単離されたこと、また、RAS-cAMP経路に負に働くBCY1(Aキナーゼ制御因子),PDE2(ホスフォジエステラーゼ)がtom1温度感受性のマルチコピーサプレッサーになることから、RAS-cAMP経路の活性を下げることによりtom1温度感受性を抑圧できることが分かった。現在、それぞれのサプレッサー変異により、どのtom1欠損表現型が抑圧されているか、調べている。また、それぞれの遺伝子産物に標識をつけ、野性型とtom1変異株内での蛋白量をウエスタンブロッテイング法により比較したが、違いは見られなかった。
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[Publications] H.Yashiroda: "Bul1,a new protein that binds to the Rsp5 ubiquitin ligase in Saccharomyces cerevisiae" Mol.Cell.Biol. 16・7. 3255-3263 (1996)
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[Publications] 宇津木孝彦: "ユビキチン化と細胞周期" 蛋白質核酸酵素. 41・12. 1826-1832 (1996)
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[Publications] 八代田英樹: "ユビキチンリガーゼの分子多様性" 細胞工学. 15・7. 907-917 (1996)