1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680778
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
角 純子 埼玉県立がんセンター, 研究所・化学療法部, 主任研究員 (30161136)
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Keywords | nm23遺伝子 / 分化誘導抑制因子 / 白血病細胞 / 増殖分化 / 白血病予後因子 |
Research Abstract |
nm23蛋白質は、白血病細胞の分化誘導を抑制する。そこで、白血病細胞および正常血液細胞におけるnm23遺伝子の発現を定量し細胞の増殖分化とnm23遺伝子の発現の関連を明らかにすることを目的とした。 成果 1.調べたすべての白血病細胞株(19株)においてnm23の高い発現が認められた。 2.白血病株細胞HELにおける発現量を基準(100)とすると、正常骨髄や末梢血の単核細胞では、nm23 H1タイプが17±7、H2タイプが43±21(n=4)のレベルであり低発現であった。特に、顆粒球や単球ではH1タイプの発現がほとんどないことが判った。 3.急性骨髄性白血病患者サンプル42例においてもnm23の発現が正常対照に比べて有意に高いことが明らかになった。さらに、このnm23の過剰発現と患者予後(不良)とが相関することも明らかになった。 4.白血病細胞の分化誘導実験から、単球や顆粒球への分化誘導に伴ってnm23の発現が低下することが明らかになった。 5.血清刺激による増殖修飾の実験から、nm23発現は血清飢餓により減少し、血清添加により著しく誘導されることが判った。また、細胞周期との関連を実験中であるが、周期に関連した発現の変動が観察されている。 このように今年度の研究では、nm23遺伝子の発現を定量化し、白血病細胞における過剰発現を証明し、細胞の増殖や分化に伴う発現の変化を明らかにし、さらには、白血病の予後因子となることも明らかにした。
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