1996 Fiscal Year Annual Research Report
繊毛虫ゾウリムシの接合時の核分化決定と生殖系列維持機構の解析
Project/Area Number |
08680785
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
見上 一幸 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (90091777)
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Keywords | 繊毛虫 / ゾウリムシ / 接合 / 核分化 / 生殖系列 / 有性生殖 / レクチン / マイクロインジェクション |
Research Abstract |
繊毛虫の細胞内には、大核と小核がある。有性生殖時に小核由来の受精核から新大核と小核がつくられ、旧大核は消失する。したがって、生殖系列は小核によって維持される。本研究ではゾウリムシ(Paramecium caudatum)の有性生殖時における小核の機能と分化について検討した結果、初年度である本年度は以下のことが明らかになった。 1.減数分裂期の小核退化過程:接合時には小核は減数分裂して4小核を生ずるが,この内の3核は退化する。1)電子顕微鏡観察の結果、この核崩壊過程において新知見を得ることができた(昨年日本原生動物学会大会発表)。2)減数分裂後の小核退化時期に、何種かのレクチンを微量注射した結果、WGA(1mg/ml,ca.35pl)の場合に著しく退化が阻害された。FITC等の標識を用いて解析の結果、WGAは核膜よりも細胞質全体に結合していた。他方、ConAの場合にはすべての小核が退化した。(昨年日本動物学会大会発表) 2.生殖系列維持のための小核の機能:減数分裂後、残った1核は分裂し、配偶核を形成の後に受精核を形成する。この配偶核は接合後の口部形成に不可欠な機能を示す。有小核細胞を無小核細胞と繰り返し接合させることにより、零染色体細胞をつくって解析した結果、小核の特定の遺伝子による支配ではなく、遺伝子機能以外のものであることが強く示唆された(本年日本発生生物学会大会発表予定)。 3.核分化決定時の小核の決定機構の解明:接合後期に受精核由来の8小核から新大核と小核が分化する。レクチンを微量注射した結果、ConAは新大核の形成を阻害した(昨年日本遺伝学会大会発表)。大小核分化の決定には、細胞内における膜系の糖鎖が関わっていることが示唆される。
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