1996 Fiscal Year Annual Research Report
突然変異誘発によるメダカの性決定機構の遺伝学的解析
Project/Area Number |
08680788
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒泉 満 新潟大学, 理学部, 助教授 (40175360)
|
Keywords | メダカ / 性決定遺伝子 / 性染色体 / 性転換 / 誘発突然変異 / 組換抑制領域 |
Research Abstract |
著者らは既に、遺伝的距離が大きく隔たる2つの近交系メダカ系統(Hd-rRとHNI)の間で戻し交配を繰り返し、HNIのY染色体上の性決定遺伝子領域をHD-rRに導入したY-コンジェニック系統(Hd-rR.Y HNI)を樹立した。この系統を用いて性決定領域近傍の2つのDNAクローンを単離している。この系統のY染色体は体色の優性遺伝子Rや既知のDNAマーカーによってX染色体と判別可能な他に潜在的の多くの遺伝子マーカーを持っている。本年度の成果は以下の通りである。 1.Y-コンジェニック系統の卵をエストラジオール処理(0.6ug/ml)することにより性転換個体(XY雌)を5個体得ることができた。性転換が可能なことは分かったが、この系統はエストラジオール感受性が従来の系統より低いので、引き続き性転換に適当な濃度を検討する必要がある。 2.XY雌をYコンジェニック系統の正常XY雄と交配しYY雄を得る交配が進行中である。YY雄の判別にはX染色体とY染色体の間で多型を示す性連関のDNAマーカー、SL5(PCR産物の大きさでX染色体とY染色体の判別が可能)を用いる。このYY雄をENU処理し正常雌と交配することにより性決定に関わる突然変異のスクリーニングを行う。 3.以上の結果の他、雄特異的な性染色体の組み替え抑制は染色体の異型性によるのでなく、配偶子形成時の環境によることが明らかとなった。また、性連関DNAであるSL110を用いたFISH解析によってメダカの性染色体が最大あるいは2番目に大きいサブメタセントリック染色体であることも判明した。これらの知見は、メダカの性決定遺伝子の探索や性連関突然変異系統の維持方法に重要な示唆を与えてくれるものと期待される。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Matsuda, Masaru: "Geographic variation and diversity of in the mitochondrial DNA of the medaka, Oryzias latipes, as determined by restriction endonuclease analysis." Zoological Science. 14(in press). (1997)
-
[Publications] Matsuda, Masaru: "Mitochondrial DNA variation in the Korean wild population of medaka,Oryzias latipes." Korean Journal of Limnology. (in press). (1997)