1996 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌ヒトヨタケの性形態形成に関する突然変異の解析
Project/Area Number |
08680794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鎌田 堯 岡山大学, 理学部, 教授 (40033360)
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Keywords | 担子菌 / Coprinus cinereus / 交配型遺伝子 / 転写因子 |
Research Abstract |
担子菌ヒトヨタケの有性過程とそれに伴う性形態形成は,交配型遺伝子AとBによる支配を受けている。2つの交配型遺伝子のうちAは,ホメオドメインをもつ転写因子であることがわかっているが,その標的遺伝子については不明である。本研究では,交配型遺伝子の下流の遺伝的制御機構を解明するために,Aの標的である可能性が示唆される遺伝子,pcc1をクローニング・シークエンシングして遺伝子産物を同定し,その働きを明らかにすることを計画した。先ず,pcc1変異株をrecipientとして,pcc1の座位する第5染色体特異的なコスミド・ライブラリーのDNAによる形質転換実験を行い,pcc1変異を相補するクローンを検索した結果,相補活性をもつクローンを一つ得ることができた。次いで,このクローンの中の活性領域をサブクローニングし,そのDNA断片から作成したプローブを用いて,pcc1-1変異株と野生型株の間のF_1の制限断片長多型(RELP)を調べた。その結果,多型がpcc1-1変異とco-segregateすることがわかった。このことから,得られたクリーンpcc1-1のサプレッサー変異ではなく,pcc1そのものであることが判明した。そこで,活性領域の塩基配列を調べ,既知の遺伝子とのホモロジーを検索した。その結果,活性領域の中に転写因子のモチーフの一つであるHMGが見つかった。今後,pcc1のORFを決定し,さらにpcc1と交配型遺伝子との相互関係について調査を行う予定である。
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