1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトデ胚形態形成における間充織細胞と細胞外マトリックスの相互作用
Project/Area Number |
08680797
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
惣川 まりな 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (60047199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 洋之 大阪市立大学, 理学部, 講師 (20169577)
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Keywords | イトマキヒトデ / 間充織細胞 / 細胞外マトリックス / 繊維状成分 / ネットワーク構造 / 形態形成 / モノクローナル抗体 / 共焦点レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
イトマキヒトデ正常発生における間充織細胞(MCs)の動態と胞胚腔のみに存在する細胞外マトリックス(ECM)の繊維状成分(FC)の機能の関し、以下の結果を得ている。 (1) MCsに特異的なモノクローナル抗体と共焦点レーザー顕微鏡を用いたMCsの3次元分布解析から、MCsは原腸胚中期に原腸先端から出現し、後期に予定口陥域と体腔嚢域で高密度な分布を示した後、ビピンアリア幼生期にネットワーク構造をとることが判った。ネットワーク基本構造は、多くのMCsが外・内胚葉基底膜領域に分布し、その発達したフィロポディアにより特徴づけられた。大部分のMCsはほぼ単核であたが、一部にいろいろなサイズの核を含んだMCsもみられた。ビピンナリア幼生に大小様々なオイルをマイクロインジェクトすると、MCsは30分以内に近寄ってきて、食作用や包囲化を行うことが判った。ネットワーク構造の生理的機能として、侵入してくる外敵に対する監視機構ではないかと考えている。 (2) ポリエステルワックス切片での、FC特異的モノクローナル抗体(4H11Mab)を用いたFCの時間的・空間的分布解析から、FCは胞胚期から出現するde novoタイプのECMであり、原腸胚中期以降に生じる胚の複雑な形を裏打ちする配置をとることが判った。4H11Mabを生きた胞胚の胞胚腔に挿入すると、原腸陥入が正常に生じた後、MCsの原腸先端におけるドーム状分布、胚の下半身領域での外胚葉シートの絞り込みの欠如、口・食道・体腔嚢の発育不全の3点において形態形成異常がみられた。これらの形態形成異常は、4H11MabによるFCの分布変化と対応づけられた。これらの観察から、FCはMCsの移動の足場、胚の形態の維持、上皮シートの移動の足場として機能していることが示唆された。
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