1997 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物の正中線に見られる組織間相互作用と形態形成
Project/Area Number |
08680798
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 淑子 北里大学, 理学部, 助教授 (10183857)
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Keywords | 形態形成 / 神経管 / 組織間相互作用 / BMP4 / シグナル分子 / トリ胚 |
Research Abstract |
脊椎動物個体発生の初期過程において、体の正中線に沿って存在する中軸組織は、後の形態形成にとって極めて重要な役割を担う。脊索及び中枢神経の前駆体である神経管が正中線に並び、その側方に将来の骨や筋肉を形成する体節中胚葉が位置する。これらの中軸組織及び沿軸組織は互いに作用しながらその後の複雑な形態形成を遂げていく。報告者は以前、このような正中線にみられる形態形成について、主に組織間相互作用のしくみに注目して研究を進め、その結果神経管とそれを覆う表皮との間に相互作用が存在することなどを見出してきた。本研究においてはこれらの研究をさらに発展させ、以下の成果を得た。 1.神経管から表皮に及ぼす作用の分子実態。 神経管から分泌されるシグナル分子BMP-4が表皮に働きかけ、その結果表皮におけるホメオボックス遺伝子Msx2の発現が誘導されることがわかった。このことは、本研究で新しく開発した、目的とする分子をあらかじめCOS細胞内に強制発現させ、次にこれらのCOS細胞をトリ胚内の神経管と体節の間に移植するという方法論を用いて明らかにされた。 2.腹側領域におけるBMP-4の役割。 上記のように神経管背側部において作用するBMP-4は、同時に体の腹側領域を形成する役割をも担っていることが明らかになった。BMP-4/COSを背側組織である体節内に移植すると、その部域が腹側組織である側板に変化した。これらのことは様々な分子マーカーを用いて明らかになった。またこれらの作用はBMP-4濃度依存的であった。 これらのことから、BMP-4は神経管の最背側部及び体の腹側部において形態形成をコントロールしている分子であることがわかった。脊索は神経管の腹側及びからだ全体としては背側正中線に位置するが、脊索が産生する因子とBMP-4が互いに拮抗しあって形態形成をコントロールする可能性が考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tonegawa: "Mesodermal subdivision along the medio-lateral axis in chicken controlled by different concentrations of BMP-4" Development. 124. 1975-1984 (1997)
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[Publications] Tonegawa: "Mesodermal subdivision along the medio-lateral axis controlled by BMP-4 and Noqqin in chicken embryos." Developmental Biology. 186. 343 (1997)
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[Publications] 0ka: "Expression pattern of epimorphin and its role during early chick development." Development Biology. 186. 347 (1997)
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[Publications] Takahashi: "BMP-4 mediates interacting signals between the neural and skin along the dorsal midline." Genes to Cells. 1. 775-783 (1996)
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[Publications] 高橋淑子: "背に腹はかえられル" 蛋白質核酸酵素. 41. 2532-2541 (1996)