1996 Fiscal Year Annual Research Report
アデノウイルスベクタを用いた生体内遺伝子導入法による神経細胞死の解析
Project/Area Number |
08680808
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八木沼 洋行 筑波大学, 基礎医学系, 助教授 (90230193)
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Keywords | 細胞死 / ニワトリ胚 / アデノウイルス / ウイルスベクタ / 神経細胞死 / Cre-LoxP / 発生 |
Research Abstract |
本研究は、細胞死関連遺伝子をアデノウイルスベクタで発生過程の神経系の細胞に導入し、それらの分子の生体内での神経細胞死における役割をあきらかにすることを目的として2年計画で遂行されている。今年度は、ウイルスの作製と至適なプロモーターの決定や注入方法の確立、注入実験の開始を目標に研究を進めた。 (1)ウイルスの作製 Cre-Loxpシステムを取り入れてウイルス作製をすることとした。この結果、Bcl-2とCrmAを発現するウイルスの作製に成功した。 (2)プロモーターの検討 神経特異的プロモータと言われるNSEプロモータの下流にCre-recombinaseを結合したものを作製し神経特異的発現系の確立を目指した。しかしながらニワトリ胚では発現は神経特異的ではなく他の部位でも発現がみられた。ニワトリ以外ではまだ試しておらず、今後の課題となっている。 (3)注入法の確立 Cre-recombinaseの発現ウイルスを脊髄内に行い、末梢にBcl-2かCrmAを発現するウイルスを注入して、運動神経特異的な遺伝子発現系の確立をめざした。その結果、数は少ないものの運動神経特異的な遺伝子発現がみられた。目的によっては使用する価値のある方法であることが判った。 微小ガラス電極を使った直接注入法を開発した。あらかじめ脊髄の蓋板に割を入れて脊髄を開いておき、そこへ直視下で微小電極を挿入し空気圧でウイルスを注入する。広い範囲にウイルスの導入が可能であることが示された。 (4)生体内への注入実験 細胞死が起こることがよく知られ、アクセスも容易なニワトリ胚の趾間(水掻き)部位へのBcl-2かCrmAを発現するウイルスの注入を行なったが、有意の差は得られなかった。細胞増殖により希釈されて有効な遺伝子発現が起こらないためと解釈している。現在、最終分裂後の神経系での作用について鋭意解析を進めている。
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