1996 Fiscal Year Annual Research Report
塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の核内移行についての機能形態学的解析
Project/Area Number |
08680820
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松田 正司 愛媛大学, 医学部, 助教授 (40173843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪中 雅広 愛媛大学, 医学部, 教授 (60170601)
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Keywords | 塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF) / 核内移行 / 神経回路形成 / 小脳 / 再生肝 / 細胞分裂 |
Research Abstract |
小脳発生期でのbFGF bFGFに対する特異抗体を用いて発生期の小脳プルキンエ細胞内bFGFの局在を調べたところ、核に陽性反応を示すプルキンエ細胞の比率は、生後1週で5%、生後2週で82%、生後3週で90%、生後4週で76%、生後6週で28%、生後12週で5%であった。又、小脳プルキンエ細胞の標的細胞である小脳核神経細胞上にbFGF陽性終末が見られ始めたのは、生後3週からであった。これらのことから、bFGFは小脳皮質または小脳核で樹状突起や軸索突起が伸展し、神経回路を形成する時期にプルキンエ細胞の核に移行し、RNAの転写調節をしている可能性が示唆された。しかし、核分画のイムノブロットによる核内移行bFGFの経時的変化及び、核移行bFGFの分子量の検討はうまくいかなかった。これは、小脳皮質内に存在するbFGF陽性プルキンエ細胞の全細胞中での比率が小さいためと思われた。そこで、分裂細胞が高率に観察される再生肝を用いた研究へと広げた。 再生肝でのbFGF 再生肝でのbFGF陽性細胞の増減は、細胞分裂のマーカーであるPCNAに陽性の細胞の増減と一致した。bFGFは肝実質細胞の核に強く認められ、核分画のイムノブロットから、核移行bFGFは高分子型bFGFであることが判明した。 光顕・電顕免疫組織化学の結果より、bFGFは肝実質細胞の正染色質に強く染まり、核小体や異染色質には認められないことから、bFGFはDNAの転写調節をしていることが示唆された。ここまでの結果はCell and Tissue Res.に印刷中である。 又、^<125>I-bFGFの結合実験で核分画に強いbFGF結合能が有ることが判明した。この結合能が、核内にbFGFレセプターが存在する為であるのか又はbFGF結合能を有する他の物質が存在するのかレセプターに対する特異抗体を用いて現在検討中である。
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Research Products
(1 results)