1997 Fiscal Year Annual Research Report
トランスジェニックマウスを用いたG蛋白質連関型K^+チャネルの機能解析
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08680855
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Research Institution | Tokyo Institute of Psychiatry |
Principal Investigator |
額田 敏秀 (財)東京都精神医学総合研究所, 神経化学研究部門, 副参事研究員 (80189349)
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Keywords | トランスジェニックマウス / テトラサイクリン遺伝子発現制御システム / G蛋白質 / K^+チャンネル / ATP感受性K^+チャンネル / ムスカリン性K^+チャンネル / スルホニルウレア受容体 |
Research Abstract |
G蛋白質と連関して活性調節を受けるK_<ACh>チャンネル(Kir 3.1)とK_<ATP>チャンネル(Kir 6.2)の、G蛋白質による調節の分子機構と脳におけるその生理的機能を明らかにするため、これらK^+チャンネルを外来性に導入したトランスジェニックマウス(Tgと略)作製を試みた。また、K_<ATP>チャンネルとサブユニット構造をとる糖尿病薬のsulfonylurea受容体(SUR)DNAを導入したTg作製も同時に行った。1)ラット由来のSUR1・Kir6.2・Kir3.1 cDNAをテトラサイクリン誘導発現プロモーターの下流に組み換えた。これらのDNAとテトラサイクリン誘導発現プロモーターのON/OFF調節のためtTA(teto binding transactivator)DNAをマウス受精卵の雄核に微量注入し、偽妊娠マウスの卵管に移植し、仔を出産させた。2)PCR法やSouthern法を用いて、交配を繰り返すことによりそれぞれのTgを2系統樹立した。3)SUR1-Tgの2系統いずれも、生後の体重増加率が小さく、死亡率も高かった。この特徴は、ヘテロマウスよりもホモマウスでさらに強く表れることが分かった。テトラサイクリン誘導発現プロモーターは、tTAを導入しない状態でも極わずか発現されるため、SUR1-Tgで見られたこれらの特徴は、SUR1が発現されたことによる表現型であることが強く示唆された。現在、SUR1-Tgの血中ホルモン濃度の測定、各臓器の病理検査、組織切片の電気生理学的測定により、低体重増加率や死亡の原因を探索中である。4)Kir6.2-Tgの表現型は、現時点で野生型と区別できなかった。今後、tTA-TgやSUR1-Tgと交配を行い、その表現型を観察する予定である。5)複数の試行にも関わらず、Kir3.1-Tgは生まれてこなかった。Kir3.1がわずかでも発現されると、胎児の段階で死亡する可能性も含めて、その原因を検討して行きたい。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Houtani,T.et al.: "Structure and regional distribution of nociceptin/orphanin FQ precursor." Biochem.Biophys.Res.Commun.219. 714-719 (1996)
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[Publications] Nakamura,K.et al.: "Importance of N-terminal regions of G protein α subunits for the activation of phospholipase C in Xenopus oocytes." J.Biochem.120. 996-1001 (1996)
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[Publications] Nishi,M.et al.: "Unrestrained nociceptive response and disregulation of hearing ability in mice lacking nociceptin/orphanin FQ receptor." EMBO J.16. 1858-1864 (1997)
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[Publications] Furukawa,T.et al.: "Voltage and pH dependent block of cloned N-type Ca^<2+> channels by amlodipine." Br.J.Pharmacol.121. 1136-1140 (1997)
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[Publications] 額田敏秀: "Gタンパク質による内向き整流K^+チャンネルの直接的な調節機構" 生化学. 68. 1554-1559 (1996)
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[Publications] 額田敏秀: "G蛋白質によるN型Ca^<2+>チャンネル調節機構に対するNefiracetamの作用-分子生物学の立場から" 精神医学. 38. 1337-1341 (1996)