1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680888
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古谷野 好 京都大学, 医学研究科, 助手 (50183041)
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Keywords | オリーブ-蝸牛束神経 / 逆行性生体染色 / スライス標本 / 一過性K電流 |
Research Abstract |
蝸牛に投射するオリーブ-蝸牛束神経(OCN)は、その解剖学的位置により、外側と内側のOCN(LOCN,MOCN)に分類される。LOCNは外側上オリーブ核(LSO)の外側に位置し、同側の蝸牛に遠心性線維を送る。このLOCNからの線維は主に内有毛細胞に結合する求心性線維およびその末端にシナプス結合する。一方、MOCNはLSOの内側に位置し、主に対側の外有毛細胞に直接シナプスを形成する(Warr,1991)。これら二つのOCNは求心性聴覚伝導路及び聴覚中枢からの投射を受け、蝸牛の機能を調節する機能を持つと思われる。しかしその機能を司るであろうOCN細胞から直接電気生理学的な反応を記録した報告はこれまで無かった。我々は、蝸牛に標識物質を充填し逆行性にOCNを生体染色し、正確に同定されたOCN細胞から電気生理学的応答を記録する事に成功した。大部分のLOCN細胞は脱分極通電によって長いfirst spike intervalの後にtonicな発火パターンを示したが、MOCN細胞は長いfirst spike latencyの後にtonicな発火様式をとることが明らかになった。また膜電位固定下では、LOCNには不活性化過程の異なった二種の一過性K電流(A電流,τ=90ms,τ=850ms)が発現しており、またMOCNにはLOCNよりも速い不活性化過程(τ=30ms)を持つA電流が一種類だけ発現していることが明らかになった。これによってLOCNとMOCNの脱分極通電刺激による発火パターンの差を説明できた(Fujino,Koyano & Ohmori,J.Neurophysiol.1997 in press)。更にOCN細胞へのシナプス入力に関しても調べたが、glutamatergic,GABAergicな投射を受ける事が明らかになり、他にnAChRの発現も認められた。今後更に実験をを追加して、これらのシナプス入力の薬理学的、生物物理学的特徴を明らかにするとともに、その生理学的意義を明らかにしたい。
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[Publications] Koyano,Funabiki & Ohmori: "Voltage-gated ionic currents and their roles in timing coding in auditory neuronsof the nucleuo magnoullnlaris of the chick" Neuroscience Research. 26. 29-45 (1996)
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[Publications] Koyano & Ohmori: "Cellular appsoach to auditory signal tranomission" Japanese Journal of Physiology. 46. 289-310 (1996)