1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680896
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
入来 篤史 東邦大学, 医学部, 助教授 (70184843)
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Keywords | 自己意識 / 体性感覚 / 視覚 / 感覚統合 / 身体像 / 中心後回 / 単一ニューロン活動 / ニホンザル |
Research Abstract |
頭頂葉後方下部領域近傍は、体性感覚、視覚、聴覚などの複数感覚が統合される脳領域で、ヒトではその損傷によって象徴作用が障害される。サルの頭頂間溝前壁部には、体性感覚と視覚とを統合して身体像をコードすると考えられるニューロン群が存在する。これらのニューロンは、身体像を構成する、体部位、姿勢、運動などの要素をコードする独立したニューロン群によって構成されていた。道具を使って遠くの餌をとるように訓練したサルの上記ニューロン群は、道具使用に伴う心理的な身体像変換(道具の身体への同化)に対応した活動特性の変化を示し、直接手元を見る代わりにモニタ上に写された自分の手のリアルタイム映像を見ながら餌をとるよう訓練すると、上記ニューロンの視覚的身体イメージがモニタ上に投影されたことを反映すると解釈される活動様式を示すことを前年度までに見いだした。さらに本年度は、映像効果をかけるとにより道具使用に内在するある種のシンボル成分に対応すると考えられるニューロン活動を分離することが出来た。また、サルが餌取り行動を行っている前腕を上から不透明な板で覆って見えなくすると、上記ニューロンの視覚受容野は隠された前腕の真上に相当する板上の空間に残存し、板の下で前腕の位置が変わると、視覚受容野もそれに伴って板上を移動することも発見した。これらの活動様式は、体性感覚情報と視覚情報の統合処理の結果、空間内における前腕の表象を心的に生成した結果を反映するものと解釈される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Obayashi S, Tanaka M, Iwamura Y, Iriki A: "Parietal neurons coding the image of the invisible forearm." Soc.Neurosic.Abstr.24. 435 (1998)
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[Publications] Taoka M, Toda T, Iriki A, Tanaka M,Iwamura Y.: "Hierachical organization of bilateral neurons in the second somatosensory cortex of awake macaque monkeys." Soc.Neurosci.Abstr.24. 1381 (1998)
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[Publications] IObayashi S, Tanaka,M, Iwamura Y, Iriki A.:"Postcentral neurons responding to visual stimuli presented near the invisible foreaerm." Neurosci.Res.Suppl.22. S186 (1998)
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[Publications] Munoz D, Hikosaka O, Iriki A, Olson C.: "Taking sensorimotor transformations to higher levels." Neur.Cont.Mov.9 (in press). (1999)
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[Publications] 入来篤史: "言語 In:基礎歯科生理学 第三版(中村嘉男,森本俊文編)" 医歯薬出版株式会社,東京, 410(236-242) (1998)