1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680897
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (80188284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 智 久留米大学, 医学部, 講師 (40166103)
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Keywords | 海馬 / CA1錐体細胞 / 脳虚血 / 幼若ラット / 成熟過程 / 静的膜特性 / 活動電位 / ATP感受性Kチャネル |
Research Abstract |
幼若(1〜6週令)および成熟雄性ラット(8週令)の海馬スライス標本を用い、CA1錐体細胞から細胞内記録を行い、生後成熟過程における静的、動的膜特性と虚血類似負荷(無酸素無グルコース液灌流)による膜電位変化について比較検討した。1週令ラットCA1錐体細胞の静止膜電位、入力抵抗は成熟群と比べそれぞれ5mV浅く、30MΩ高かった。活動電位の振幅は成熟群と比べ小さく、その持続時間は2倍に延長し、閾値は成熟群より10mV脱分極側にあった。2週令以降、これらは漸次成熟群の値に近づき、3週令以降は成熟群と差がなかった。さらに、電流・電圧関係は、1週令ラットで静止膜電位より脱分極側で緩徐な外向き整流が見られるのみだが、2週令以降、外向き整流の増強と過分極側で内向き整流が見られるようになった。このことから、CA1錐体細胞の内向きおよび外向き整流性KチャネルとNaチャネルの発現が生後2〜3週で成熟レベルに達すると考えられた。成熟群では虚血類似負荷後2分で一過性過分極電位が、4分で緩徐脱分極電位が、6分で急峻脱分極電位が発生し、直ちに酸素・グルコース含有液を灌流しても膜電位回復は見られないが、1〜2週令では一過性過分極電位の発生を欠き、43分〜12分持続する緩徐脱分極電位のみ生じた。さらに2〜3週令では急峻脱分極電位発生後、酸素・グルコース含有液再灌流で膜電位回復が見られた。週令を重ねるにつれ、急峻脱分極電位の発生潜時は短縮し、その勾配は急峻になり6週令以降に成熟群と差がなくなった。ATP感受性K(K_<ATP>)チャネルが生後2週以降に著明に発現する(Xia et al.1993)という報告を考えあわせると、虚血類似負荷後早期の一過性過分極電位はK_<ATP>チャネルの活性化により発生し、幼若群のK,Naチャネル低発現は外液K蓄積,glutamate放出の抑制を介し、急峻脱分極電位発生延長の一因と考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Fujimura,N.: "Contribution of ATP-Sensitive Potassium Channels to Hypoxic Hyperpolarization in Rat Hippocampal CA1 Neurons In Vitro" Journal of Neurophysiology. 77. 378-385 (1997)
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[Publications] Yamamoto,S.: "Mediation by Intracellular Calcium-Dependent Signals of Hypoxic Hyperpolarization in Rat Hippocampal CA1 Neurons In Vitro" Journal of Neurophysiology. 77. 386-392 (1997)
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[Publications] Tanaka,E.: "Effects of Glutamate Agonists and Antagonists on Ischemic Damage of Hippocampal Naurons" ″Molecular Neurobiology and Brain Ischemia″Edited by Shimoji, K.,Springer-Verlag,Tokyo. 95-113 (1996)