1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680906
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鬼頭 純三 名古屋大学, 医学部, 教授 (60022802)
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Keywords | スンクス / 行動異常 / 皮質脊髄路 / 錐体外路 |
Research Abstract |
名古屋大学に於て、スンクスのストック集団の中に左右への旋回運動を主徴とする行動異常が発見されワルツ系として確立された。申請者らの研究によりこの系統は常染色体上にある劣性単一遺伝子(WZ)によるものであることが明らかにされ、形態学的観察と三次元立体構築及び立体計測の結果から、内耳等末梢感覚器の形成異常ではないことが明かとなっている。また、前庭神経核等知覚性中枢や線条体、黒質、小脳等錐体外路性中枢にも、通常の神経解剖学的・病理学的所見は認められない。 異常行動は何等かの刺激によって誘発され、旋回の方向は一定しない。また、広い場所での行動は必ずしも旋回に限定されること無く、正常動物に比べ非調節性であることを伺わせる。 スンクスの脳の活性物質の局在については僅かな知見しかえられていないので、今年度は通常の神経伝達物質の組織化学的検索を試みたが、行動異常を説明しうる異常は発見されていない。 一方、スンクスは既知の哺乳類の中では大脳新皮質の発達が最も悪い半面、巨大に発達した嗅覚を反映して、いわゆる大脳辺縁系が大きく発達し、運動調整系では錐体外路中枢が大きな比重を占めている。こうした意味では皮質脊髄路系と錐体外路系による運動制御異常も含めて検討する必要があり、現在スンクスに於て皮質脊髄路、被蓋脊髄路、赤核脊髄路などが脊髄のどのレベルまで達して運動調節が行なわれているかを検討中である。
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