1997 Fiscal Year Annual Research Report
つくば高血圧マウスのNa利尿ペプチド,レニン・アンジオテンシンの動態と病態解析
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08680909
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鈴木 秀作 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (70041663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 順一 久留米大学, 医学部, 講師 (30229257)
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Keywords | つくば高血圧マウス / 組織学 / ANP / アンジオテンシン |
Research Abstract |
つくば高血圧(R/A)マウス雄12、15、18カ月齢とアンジオテンシン変換酵素阻害薬について検討した。R/Aマウス雄の血圧は、対照マウス(C57BL/6J)に比べ、9、12カ月齢では平均30〜40mmHgも高く、その後、18カ月齢で200.8±4.8mmHgと12カ月以降上昇はみられなかった。R/Aマウス雄の心重量は、対照マウスに比べいずれの月齢とも有意に大きかったが、各月齢とも個体差が大きく(18カ月齢で138〜206mg)、15カ月齢で350mg以上を示すものもみられた。R/Aマウスの腎重量は、心重量と同様、個体差が大きく、18カ月齢で135〜182mg(159.8±17.8mg)であった。R/Aマウスの心筋細胞は肥大し、月齢が進むにつれさらに明らかとなった。R/Aマウス腎臓の糸球体の基底膜の肥厚が認められた。胸大動脈、冠動脈の内皮下に泡沫細胞の集簇が散見された。また、肝臓の小葉間動脈、静脈が拡張した例もみられた。R/Aマウスの心耳筋細胞のANP顆粒の数は,3カ月齢以降有意に増加し、免疫組織学的にも強く反応したが、15、18ヶ月齢では顆粒数、反応が減少した。ANPmRNAの発現は幾分高かった。血中、心室のANP濃度は、減少の傾向を示したが、心房では増加を示した。R/Aマウスの胸大動脈の組織内アンジオテンシンIIの濃度は、18カ月齢まではR/A間および対照群間に差異はみられなかったが、心肥大の著しい例では高い値をしめした。アンジオテンシン変換酵素阻害薬キナプリン投与により血圧上昇は抑えられ、心重量も同月齢のものに比べ小さかった。18カ月齢以降、死亡するものが多くみられたが、平均寿命については例数が少ないことから、今回は、明らかにできなかった。今回の成績の概要は、第12回ANP研究会(1998.2.大阪)で発表した。今後、同月齢において心肥大の程度に違いがみられたこと、血中および組織内ANP濃度と形態学的所見に差異がみられたことから、これらの要因についてさらに検討する。
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