1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680939
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Research Institution | MEIJI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
崔 博坤 明治大学, 理工学部, 助教授 (30143530)
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Keywords | 生体組織 / 表面波 / ずり弾性率 / ゲル / 鶏ささみ / 牛心筋 / 牛レバー |
Research Abstract |
これまで不明確であったゲル上を伝搬する表面波モードの理論的解析を行った。固体の表面弾性波理論に表面張力を導入して分散関係を求め、どのような表面波が伝搬可能かを調べた。ゲル化すると、ずり弾性が出現する結果、固体でよく知られているレーリー波が伝搬するようになる。このほかに、表面張力と弾性の両方が関与する漏洩表面張力波という新しいモードが存在することが予測された。後者は伝搬しながら横波をバルク中に放射し、減衰する。異方性固体で知られた漏洩表面弾性波と類似の波動である。 この予測を実証するため、500Hzのパルス状表面波を使ってゼラチンゲル、アガロースゲルの表面波速度を12〜45℃の温度範囲で測定した。ゾルでは表面張力波のみ観測されたが、ゲル化とともに速度の異なる二つのモードが初めて観測された。そのモードは速度の大きさからレーリー波と漏洩表面張力波に相当することが推定された。さらにもう1つのモードが観測され、これは表面波ではなく振動子によって励起されたバルク中を伝わる横波であることが示された。これらの結果からゲルのすり弾性率が求められた。 以上の結果から、生体物質などソフトマテリアルにおける表面波伝搬現象を理論的、実験的に解明できたといえる。本研究で開発された方法の特徴は表面のみを用いて簡単にずり弾性率を評価できるという点にあり、生体組織に限らず種々のソフトマテリアルの弾性研究に威力を発揮することが期待される。
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