1997 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症海綿骨の骨梁構造形態と骨折機序に関する生体力学的研究
Project/Area Number |
08680944
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Research Institution | Kinki University, Faculty of Engineering |
Principal Investigator |
速水 尚 近畿大学, 工学部, 助教授 (20173057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 正典 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (20088537)
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Keywords | バイオメカニクス / 骨粗鬆症 / 大腿骨頚部骨折 / 骨梁 / 海綿骨 / 骨形態計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は,骨粗鬆症が原因して発生した大腿骨頚部骨折の力学的機序を検索することにある. 平成9年度では,主に頚部骨折で摘出した骨頭海綿骨の骨形態計測を行い,骨折型の違いによる組織学的形態計測パラメータの違いを比較した.骨梁構造の特徴量を表示するため,骨梁幅など一般的に用いられるパラメータのほかに,平均横切長や異方性の程度を表すパラメーターも導入した.頚部骨折形態は典型的型(A群)と三日月型(B群)に分類できる.骨頭の内側域,主圧縮骨梁群および外側域の骨形態計測パラメータを測定した.A群の骨梁幅は主圧縮骨梁群がもっとも大きく,内外側のそれは相対的に小さい分布を示た.一方,B群の骨梁幅には部位による差異が小さかった.また,異方性に関する特性値については,A・B群ともに主圧縮骨梁群の異方性は顕著であったが,内外側領域の異方性はほとんど認められないなど,構造指標の特徴が明確になった.これらの骨形態学的パラメータを別に測定した各部の力学的強度データと重畳して検討した結果,骨粗鬆症による骨梁構造形態の変化が,亀裂の進展方向を決定付ける大きな役割を果たしていることが示された.すなわち,骨折を生じる外力は種々の大きさと方向をもって股関節に作用するが,骨頭内部ではすでに骨粗鬆症によって骨梁構造の変化による骨頭内各部位の強度の違いが発生しており,それに従って骨折線が進行して,特定の骨折形態を生じることが示唆された.特にA群の骨折形態については,有限要素法による解析結果なども併せて考察し,内側部に進展する骨粗鬆症の影響はほとんどなく,外側に亀裂が生じ,亀裂は主圧縮骨梁群に達した後,方向を遠位側に変えて内側皮質へ向かって進展して骨頭骨折に至ることがわかった.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 速水 尚: "骨髄液が海綿骨の荷重支持および緩衝特性に及ぼす影響" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 17. 331-336 (1996)
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[Publications] 酒井俊行: "骨粗鬆症患者大腿骨頭の力学的特性とDEXA法評価との相関性" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 17. 379-383 (1996)
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[Publications] 伊藤 努: "大腿骨頚部内側骨折の骨折型による骨頭海綿骨物性の相違" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 18. 259-263 (1997)
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[Publications] 速水 尚: "衝撃荷重下で観察された骨梁の疲労骨折挙動の解析" 日本臨床バイオメカニクス学会誌. 18. 295-299 (1997)
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[Publications] Y.S.Chang: "Histologic comparison of tibial articular surfaces agenst rigid materials and artificial articular artilage" Journal of Biomedical Materials Research. 37. 51-59 (1997)
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[Publications] 速水 尚: "骨粗鬆症によるヒト骨頭海綿骨の骨梁構造と力学的特性の変化" 近畿大学工学部研究報告. 31. 7-12 (1997)