1996 Fiscal Year Annual Research Report
無意識概念の哲学的再検討--今世紀フランス思想の展開において--
Project/Area Number |
08710003
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
檜垣 立哉 埼玉大学, 教養学部, 助教授 (70242071)
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Keywords | 無意識 / フランス思想 / ラカン / 排除 / ドゥルーズ / タナトス |
Research Abstract |
〈無意識〉という概念は、とりわけ近代的思想から現代的思考への転換の在りようを検討する場面で、根幹的なものとして位置づけられる概念であり、さらには現代におけるいわゆる構造主義やポストモダンの思想を総覧する場面では、表面的な応用・適用を越えたその哲学的内実の検討は看過しえない研究主題たりうるものと想われる。こうした考えを背景に、本研究では、基本的に次の二つのラインに従って研究を遂行した。一つは〈無意識〉という概念を、その概念装置そのものの創始者であるフロイトに精確に辿り返りながら、その概念の孕む哲学的内実を研ぎすまし、先ずはそこから〈現実的なもの〉という独自な概念を〈無意識〉の核として採り出したジャック・ラカンの思考を整理し、それが切り開く射程に関し考察を加えた。このなかで〈無意識〉という概念が〈抑圧〉を越えた〈排除〉と言う仕方で、記号的構造=象徴的なもの・知覚的錯綜=想像的なもの、という概念装置に奥深く連関する様を採り出しながら、〈無意識〉と〈主体〉〈言語〉の相関に関して、一定の考察を展開した。この成果は、「現実的なものの位置」(埼玉大学紀要)で既に発表済みである。第二には、ガタリと共に、一種の反精神分析という視点からフロイト以降の精神分析の運動を批判的に摂取し、別種のかたちで〈無意識〉に関する唯物論的・機械論的観点を提示し、ラカンとは異なったかたちで〈無意識〉の理論を拡張させるドゥルーズの議論の分析を、とりわけフロイトの理論においても根幹となるタナトス概念と〈器官なき身体〉の概念の関係などを中心に考察を進展させつつある。この点に関しては、いずれ近いうちに紀要・雑誌論文などでまとめる予定である。
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[Publications] 檜垣立哉: "(現実的なもの)の位置-ラカン的思考の可能性の中心-" 埼玉大学紀要. 82・1. 1-24 (1996)
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[Publications] 檜垣立哉: "(ことば)は何名にあるのか" 科研責報告書、東京大学、松永澄夫、文学部行巻に於る言語的要素と非言語的要素との関係. (1997)
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[Publications] 檜垣立哉: "(自他)の言語学" 『言語』. Vol.125No.5. 40-43 (1996)