1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08710025
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
橋本 英治 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 講師 (50218418)
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Keywords | ネットワーク / 電子情報 / 環境 / シミュレーション / 芸術 / 視聴覚 / インターネット / メディア |
Research Abstract |
本研究はネットワークによって成立しつつある電子情報環境(偏在性、即時性)において芸術作品が成立しうるのか、そして既存の芸術作品がいかなる変容をとげるのかを研究の対象とした。 研究のため、簡単なネットワークを構築し電子情報環境のシミュレーションを行った。さらに、実際のインターネット等での芸術作品のあり方を検討した。 1.社会ではインターネット等のネットワーク環境が普及しつつある。どこでどういう芸術作品が展示されている等の間接的な情報が他のメディア(雑誌・TV等)以上にネットワーク経由で速く自由に手に入れることができる。それは「芸術について」の情報でしかないが、逆にこの間接性が関係性としての「芸術それ自体」の成立の可能性を示唆している。情報の関係が作り出す実体を持たない未だ見ぬ芸術作品である。しかし、調査の結果それがネットワーク上では現時点で存在しない。 2.ネットワークであるがゆえ、そこでなされる芸術作品と称されるものは、現在伝達可能な情報としてデジタル化されたものに限られる。つまり基本的に視聴覚による表現にすぎない。一部にデータグローブ等の動きのセンサーを使った芸術表現も見られるが、これは特定の場所でなされるものであり、ネットワーク環境の特徴である偏在性とは相容れないものである。ネットワーク環境の芸術は身体性を排除した徹底的に視聴覚的である、まさにその点で他のメディアと違いを示さねばならないと思われる。 3.実際のネットワーク環境(例えばインターネット等)は使用者の爆発的増加により常に混雑している。そして、これが今後恒常的に続くものと思われる。そこでは、電子情報環境の特徴である即時性が逆に失われつつある。今後の電子情報環境に関しては即時性を括弧に入れて論じる必要性がある。 4.結論として、未だ電子情報環境に関しては、それが使用され、活用される手段を我々が持ち得ていないことが明らかなこととなった。
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