1996 Fiscal Year Annual Research Report
「すき間のない社会」におけるアイデンティティー形成
Project/Area Number |
08710126
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山口 洋 金沢大学, 文学部, 助手 (00262543)
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Keywords | 教育 / 年齢意識 / 文化 / 雑誌 / 学年 |
Research Abstract |
現代日本では、落第の少ない教育システム、新卒採用、年功序列といった制度に支えられて、特定の年齢あるいは学年と結びついた行動規範や文化が発達した「すきまのない社会」である。こうした規範や文化を個人レベルで支える年齢・学年意識の時系列的変動と、それが教育に関する意識や行動にどう反映しているかを探るのが本研究の目的であった。 まず、小学校高学年・中学生・高校生における年齢・学年文化の変動を探るため、雑誌の好みが学年毎にどのように分化し、その分化の度合いがここ20年ほどでどのように変化してきているかを分析した。本科学研究費で購入あるいは収集した、毎日新聞社の『読書世論調査』のデータを、コンピュータ、統計ソフト等を用いて分析したところ、雑誌の好みにおいて、ここ15年ほど年齢意識は弱まり、年の違う少年少女が同じような雑誌を読むようになってきていること、男子に比べて女子の方が年齢による好みの分化が大きいことなどが明らかになった。 さらに、年齢・学年意識が教育に関する意識や行動にどのように影響を与えているかを探るため、学校生徒を対象とする意識調査を企画し、本科学研究費で印刷した質問票により、大学生に対する予備的な調査を実施した。 これらの作業と平行して、教育社会学の文献資料を収集し、既存の調査データを利用しつつ、人々の教育に関する意識(学歴社会像、子供に対する教育期待)の基本的構造の理解につとめ、その成果を雑誌論文にまとめた。
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Research Products
(1 results)