1996 Fiscal Year Annual Research Report
欧州審議会における"子どもの権利政策"の現代的動向に関する研究
Project/Area Number |
08710173
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
世取山 洋介 新潟大学, 教育学部, 助教授 (90262419)
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Keywords | 欧州審議会 / 子どもの権利政策 / 子どもの権利行使に関する欧州条約 / 子どものための欧州戦略に関する第1286勧告 / 子どもの権利条約 / 子どもの手続的権利 / 子どもの意見表明権 / 子どもの参加 |
Research Abstract |
本研究においては,欧州審議会における"子どもの権利政策"の現代的動向を明らかにするために、欧州人権裁判所、閣僚委員会、および、議員総会における、子どもの権利実施のための動きを分析し、その全体的動向を把握しようとした。 議員総会勧告1121号の具体化として注目される「子どもの権利行使に関する欧州条約」(96年5月発効)、議員総会において採択された「子どものための欧州戦略に関する第1286号勧告」(96年1月24日)を対象とし、その翻訳および分析を進めた。また、欧州人権裁判所の子どもの権利に関する判例については、家族再統合に関する権利に関する近年の判例の分析を行なってきた。なお、本科研費の一部を用いて、欧州審議会に出張し、それぞれの施策の状況についての研究代表者の計画について担当官からレビューを受けた。 現在、それぞれの資料の分析結果を取りまとめており、研究成果をまとまった形で行なっていない。がそれでもなお、次のような結論を得ることが予想されている。 (1)子どもの権利条約の欧州審議会における具体化の動向におけるもっとも大きな特徴は、これまでの子どもの権利論が、子どもの権利の内容論に焦点付けが行なわれてきたのに対し、子どもの権利の実施の手続論、すなわち、子どもの権利をどのような手続のもとで実現していくのかという新しい問題へと焦点が移行していること。 (2)子どもの意見表明権(国連子どもの権利条約第12条)の具体化としての子どもの個人的手続的権利の具体化を家族法領域においてはかり、国連子どもの権利条約では抜け落ちていた代理人選任の方法および意見表明の前提となる情報へのアクセスなどの問題への回答が導き出されていること。(3)選挙権を認められていないがゆえに政治過程から排除されている子どもに対し、その利益の政治過程への反映を「子どもの参加」という理念の下に実現しようとしていること。
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Research Products
(1 results)