1996 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスにおける資格制度改革と16-19歳層の教育・訓練の再編
Project/Area Number |
08710200
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Research Institution | Osaka Junior College of Music |
Principal Investigator |
藤本 敦夫 大阪音楽大学短期大学部, 助教授 (50269833)
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Keywords | 教育改革 / 資格制度 / 職業教育 / 職業訓練 / 継続教育 / 中等教育 / タ-シャリィ・カレッジ / 16-19歳層の教育・訓練 |
Research Abstract |
本研究は、1980年代以降のイギリスにおける教育訓練資格制度改革の動向に注目し、1)教育政策的側面、2)制度的側面、3)教育内容的側面についての情報収集と分析を通じて、イギリスの教育・訓練と社会構造が資格制度を介して結合する様態のイギリス的特質とともに、日本の教育改革との比較を目的とし、そのための基礎作業として当該領域の文献・資料を収集し、分析作業をおこなった。現時点での成果の概要は以下のとおり。 1)80年代以降、教育政策と雇用・訓練政策がさまざまな矛盾・屈折を内包しながらも、いわば国策的に連動の度合いを増しつつあり、国民全体の資格取得と労働力の底上げをめざす本格的な「資格社会」への転換がはかられている。この面で、これまでのイギリス理解にも一定の修正をせまるものである。また、そこにおいて特に産業界の要請する職業能力開発戦略が基本的イニシアティヴとなっていること、そうした国家基準化・規格化と並行していわゆる「自由化」ないし「民営化」が展開しつつあり、従来のイギリス的政策形成の特質とされた「パートナーシップ」が、この面でも変質したことも明らかになった。 2)これまで、民間のさまざまな機関によって認定されていた各種の職業資格を整序し、一定の国家基準のもとに一元化することとあわせて、「1988年教育改革法」及び「1992年高等及び継続教育法」等の立法を含む一連の教育制度改革において、継続教育機関も特に16-19歳層に関して大きく様変わりしつつある。 3)上記と関連して、中等教育及び継続教育のコースやカリキュラムに職業資格があらためて位置づけられた。なお、シックスス・フォーム、継続教育カレッジ、タ-シャリー・カレッジのカリキュラムなど具体的な教育内容についての一次資料を収集したが、その詳細な分析は当面の課題である。
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