1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08730015
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
泉田 成美 東京大学, 社会科学研究所, 助手 (50272505)
|
Keywords | 所有は経営の分離 / 利益の分配 / 企業成長 / メインバンク / 役員報酬 |
Research Abstract |
有価証券報告書を用いて全上場企業の経営者および役員を、1)オーナー,2)従業員出身,3)親会社出身,4)金融機関出身,5)政府出身,6)その他,に分類し、財務データと結合することによって、企業の支配構造が企業行動に与える影響について実証分析を行った結果、次の結論を得た. 1.利益の分配に関して、オーナー・マネージャー企業では株主に対する利益分配が相対的に大きくなっているのに対して、経営者が従業員や親会社出身の企業では従業員に対する利益分配が相対的に大きくなっている. 2.オーナー・マネージャー企業よりも所有と経営の分離した企業の方が労働生産性は高くなっているが、企業成長率はオーナー・マネージャー企業の方が高くなっている. 3.メインバンクと安定的な関係を結んでいる企業の方が、そうでない企業にくらべて、経営不振時により安い費用で資金調達をすることが可能になっている. 4.オーナー・マネージャー企業において、役員報酬は株式収益率や付加価値といった企業活動の成果によって誘因付けられているが、経営者が従業員出身である企業においては、そのような関係はみられない.
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 泉田成美: "「所有と経営の分離」と分配構造" 社会科学研究. 48巻1号. 254-274 (1996)
-
[Publications] 泉田成美: "「所有と経営の分離」と企業行動" 社会科学研究. 48巻2号. 267-282 (1996)
-
[Publications] 橋本寿朗: "日本における経営不振企業とメインバンク" 社会科学研究. 48巻3号. 127-146 (1996)
-
[Publications] Masahiro Kawai: "Japanese firms in financial distress and main banks" Japan and World Economy. Vol.8,no.2. 175-194 (1996)
-
[Publications] 泉田成美: "日本企業の役員報酬に関する実証分析" 社会科学研究. 48巻5号. (1997)