1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08740007
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
佐藤 孝和 埼玉大学, 理学部, 助教授 (70215797)
|
Keywords | ヤコビ形式 / 正標数数論的空間 / 被除冪代数 |
Research Abstract |
本研究では正標数数論的空間における調和解析の理論を構築することを目標とした。しかしながら、正標数特有の自由度の多さから、まず、あるべき調和解析の姿を定めるところから始めねばならないことが判明した。この理論ができたとすると、それはゼータ関数の関数等式や多変数保型形式の理論と両立しなくてはいけない。そこで研究代表者は前年度の研究で得られた成果をもとにして2変数の保型形式であるヤコビ形式の構成を試みた。そしてヤコビ群の作用によるもののうちSL(2,Z)で不変な関数の構成に成功した。標数0の場合とは異なり、インデックスをPDイデアルの元としたこと、定数項として分母に0が来ることのないようなものを選び出すことなどの手法が編み出された。この成果は1997年3月の研究集会(信州大学)で発表された。論文については執筆中である。 なお、本研究の副産物として、正標数数論的空間で特に非可換なものが情報セキュリティー理論に応用できることが判明した。そして四元数体を正標数にリダクションしたものを用いてデジタル署名の新しい方式を東京工業大学情報工学科の荒木教授との共同研究により開発した。この成果をまとめ“On construction of signature scheme over a certain non-commutative ring (IEICE trans.fund.Vol.E80A,40-45,1997)"を著した。これは従来全くなかった知見であり、今後広く学際的な視点から一層の研究が必要であると思われる。
|
Research Products
(1 results)