1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08740025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中島 俊樹 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (60243193)
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Keywords | 量子群 / 結晶基底 / 頂点作用素 / 表現論 |
Research Abstract |
1990年頃京都大学数理解析研究所の柏原氏により発見された結晶基底の理論と、1991年にロシアの数理物理学者フレンケルとレシェティヒンにより発見されたq-頂点作用素の理論は量子群、格子模型、共形場理論などに特に大きな影響を及ぼした。前者は、量子群の表現論を結晶化して-つまりq=0で考えることにより複雑なものを簡略化し様々な具体的計算を可能にした。そして、後者はq-クニズニック-ザモロジコフ方程式を導入し、その解の接続行列として面模型のヤン-バクスター方程式の楕円関数解が得られることを示した。申請者は、結晶基底を記述するために柏原氏により導入された柏原代数に対しq-頂点作用素の類似物を定義しその2点関数が、いわゆる量子R行列と一致することを示した。申請者の目的としては、アファイン型の場合にトレースを考え、その具体形を記述することと、A型の場合に重みをつけてトレースをとり、そこにいかなる関数が現れるか調べることである。エティンゴフとキリロフは、A型量子群の場合に頂点作用素と同様のものを考え、その重みつきのトレースがマクドナルド多項式を与えることを示した。現在、申請者は柏原代数の最高ウェイト表現の結晶基底をカルタンデータのみから記述する方法について共同研究中であり、これが目的に役立つものと期待している。
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