1996 Fiscal Year Annual Research Report
Teichmuller空間の座標付け及び一次変換の幾何
Project/Area Number |
08740093
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
奥村 善英 金沢大学, 工学部, 講師 (90214080)
|
Keywords | 双曲多様体 / タイヒミュラー空間 / リーマン面 / 離散群 / 不連続群 / 一次変換 / 実解析多様体 / 大域座標 |
Research Abstract |
1,T(g,0,m)(2g+m【greater than or equal】3)を大域実解析的に座標付けする長さ変数の最小個数をN_1(g,0,m)とする。フックス群の二元生成部分群を構成する議論から、m⊃の場合にはN_1(g,0,m)=dim(T(g,0,m))となることを示し、この議論の応用として、M.Seppala-T.Sorvali(1988)の結果の別証を行った。その後、一次変換の平方根の概念を導入し、一次変換の幾何的性質を調べることにより、 N_1(g,0,0)=dim(T(g,0,0))+1 を示した。さらに、長さ変数をすべて単純閉測地線の長さから選べることを報告し、長さ変数の変数空間の記述にも成功した。 2,長さ変数の変数空間は複雑な多項式系で記述されることが分かり、長さ変数によるタイヒミュラー空間の解析は大変となる。双曲幾何においては、角度は長さより情報量が多いというアイデアを持ち、角度変数でT(g,0,m)を大域実解析的に記述することを、次に試みた。このような角度変数の最小個数をN_2(g,0,m)とする。双曲型変換の軸から決定される多角形の辺の長さと内角の関係を、一次変換の平方根で記述する議論を展開し、N_2(1,0,1),N_2(2,0,0),N_2(3,0,0)を調べ、その変数空間も具体的に記述した。 3,フックス群を行列群へ持ち上げる問題の構成的な証明を行った。さらに、持ち上げ(写像)の個数とI.Kraが提出した問題の答えも得られた。この議論の応用として、リーマン面上の単純閉曲線が分割しているための条件が、この曲線に対応するフックス群の元を持ち上げた行列のトレースの符号で、判定できることを示した。これは、解析的性質から位相的性質が導かれることを意味している。 4,著書では、非ユークリッド幾何学を解析的に説明し、平面のタイル貼りからフックス群を自然に導入して、リーマン面とタイヒミュラー空間、クライン群、結び目と双曲多様体についても言及している。
|
-
[Publications] Y.Okumura: "Global real analytic length parameters for Teichmuller spaces" Hiroshima Math.J.26・1. 165-179 (1996)
-
[Publications] Y.Okumura: "Parametrizations of Teichmuller spaces" XVIth Rolf.Nevanlinna Colloquium,Walter de Gruyter. 181-190 (1996)
-
[Publications] Y.Okumura: "持ち上げ問題とリーマン面上の単純分割閉曲線の特徴付け" 京都大学数理解析研究所講究録. 967. 142-154 (1996)
-
[Publications] Y.Okumura: "Global real analytic angle parameters for Teichmuller spaces" J.Math.Soc.Japan. 49. (1997)
-
[Publications] 谷口雅彦: "双曲幾何学への招待" 培風館, 192 (1996)