1996 Fiscal Year Annual Research Report
次世代粒子加速器のための三次元航跡場の発生機構に関する理論的・数値的研究
Project/Area Number |
08740183
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川口 秀樹 北海道大学, 工学部, 助手 (90234046)
|
Keywords | 航跡場(ウエーク場) / 粒子加速器 / 境界積分方程式 / コヒーレントレーディエーション / 高エネルギー物理 / 荷電粒子 / ベクトルポテンシャル / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
粒子加速器の航跡場解析には、既に、有限積分法(Finite Integration Technique ; FIT)に基づき、解析領域を差分化し、時間領域の数値計算により解析する手法が一般的あり、実際、非常に多くの有益な結果が得られている。しかしながら、高エネルギー化、ショートバンチ化、高ルミノシティ化へと向かう次世代の粒子加速器においては、粒子と場が強く相互作用し、航跡場発生に伴う荷電粒子への反作用もきわめて大きくなり、粒子の動力学にも支配的に影響することが予想される。このような観点から、本研究では、任意の粒子軌道を自然なかたちで定式化に取り込むことが可能な境界積分方程式に基づく航跡場解析手法の開発を行った。具体的な実施内容は、以下のとおりである。 1.航跡場における境界積分方程式法の定式化(ベクトルポテンシャルベース)、コード作成 2.航跡場解析コードの最適化(所要メモリ削減、計算時間短縮化) 3.航跡場解析コードの安定化(不安定要因の解析、安定化条件の付与) 4.航跡場と粒子軌道との結合解析コード作成 5.ディスクロードキャビティにおける航跡場発生機構の数値的解析とウエークポテンシャルの計算 とりわけ、コードの安定化が得られたことが本研究の最大の成果であり、実際、境界積分方程式に基づく安定な航跡場解析手法の開発は本研究が初めてのものである。 本研究により場と粒子が強く相互作用する現象の数値解析コードが得られたことで、これまで解析が困難であった ・コヒーレントレーディエーション ・加速空洞のカットオフ作用による自然放射の禁止 など、多くの学術的に興味深い現象をも取り扱えることになり、今後もこの方向に研究を展開していく計画である。 なお、上記航跡場解析コードの開発においては、期間中、航跡場解析の第一人者であるThomas Weiland教授(ダルムシュタット工科大学、ドイツ)を招へいし、コード開発に関する討論を行うなど、これまでの教授の航跡場解析の豊富な経験、知識を参考に研究を進めたことも特記しておく。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] H.Kawaguchi and T.Honma: "Consideration on Numerical Instability of Dirichlet Gauge BEM" IEEE Transaction on Magnetism. 32[3]. 914-917 (1996)
-
[Publications] H.Kawaguchi, M.Isoda and T.Honma: "Consideration on the Dirichlet-Gauge Boundary Integral Equation Method from Topological Point of View" IEEE Transaction on Magnetism. (発表予定).