1996 Fiscal Year Annual Research Report
シリカエアロゲルの粒子識別装置への新しい応用に関する基礎的研究
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08740220
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Research Institution | National Laboratory for High Energy Physics |
Principal Investigator |
飯嶋 徹 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助手 (80270396)
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Keywords | シリカエアロゲル / リングイメージング型チェレンコフ検出器 / イメージインテンシファイヤー / π / K識別 |
Research Abstract |
本研究では、シリカエアロゲルの新しい応用として、リングイメージング型チェレンコフ検出器(RICH)幅射体としての応用に関する基礎的研究を行った。研究の骨子と得られた結果は、以下の如くである。 1.シリカエアロゲルの透過率の最適化:シリカエアロゲルの透過率改善を目指して、原料材料混合比、ゲル熟成期間、超臨界抽出条件の最適化を行い、波長400nmの光に対して約30mmの透過長が得られた。この透明度の高さは世界最高のものである。 2.光学系等のデザインの最適化:チェレンコフ光をレイトレイスする計算コードの開発を行い、その結果、厚さ約5cmの幅射体と曲率半径300mmの凹面鏡を組み合わせた光学系でビームテストを行うこととした。 3.イメージインテンシファイヤー(IIT)を使ったビームテスト:KEK12GeV陽子加速器のπ2ビームラインで行ったビームテストでは、凹面鏡フォーカス面に口径10cmの大型IITを設置し、屈折率1.03のエアロゲルから放出されるチェレンコフ光リングイメージを鮮明に撮像するこに成功した。ビデオテープに記録されたIIT画像データのオフライン解析により、イベント当たりの平均光量として約10p.e.が得られている。 以上で得られた結果は、シリカエアロゲルがしきい値型のみならずリングイメージ型のチェレンコフ検出器に対しても有効な幅射体であり、将来の実験に応用可能性があることを如実に示している。これにより、従来は困難であった4GeV〜数10GeV領域でのπ/K識別が可能になると期待できる。今後は、ビームテストの結果をモンテカルロ計算と詳細に比較して定量的に理解し可能な改善点を探る必要がある。また、強磁場中や高計数率では使用困難なIITに替わる位置検出型光検出器の開発が重要になる、と考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Iijima: "Aerogel Cherenkov counter for the BELLE experiment" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. A379. 457-459 (1996)
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[Publications] T.Iijima: "Study on fine-mesh PHTs for detection of aerogel Cherenkov light" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. (発表予定).