1996 Fiscal Year Annual Research Report
半導体同位体工学の応用:強く補償された半導体中の乱れの物理
Project/Area Number |
08740252
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊藤 公平 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (30276414)
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Keywords | 半導体 / 補償比 / 移動度 / イオン化不純物散乱 / ホール効果 |
Research Abstract |
本研究では材料中の原子番号のみならず原子量(すなわち同位体組成率)まで制御する新分野「半導体同位体工業」の手法を開拓し、その応用として10〜99%の範囲の任意の値で伝導キャリアが正確に補償された半導体材料の作成を行った。試料作製法は我々が近年開発した「同位体組成を制御したゲルマニウム(Ge)単結晶の熱中性子ド-ピング」[Itoh,et al.,Appl.Phys.Lett.,64.2121(1994)]を用いた。これらの試料中では高濃度のイオン化した不純物がランダムな強電界を発生し、半導体バンドギャップまでも局所的に乱されたdisorderの物理によって支配される。そこで本研究では自由電子がランダムな強電界で散乱される現象に着目し、8種類の異なる補償値を有するGe試料のホール効果測定を3〜300Kの温度範囲で行った。求まったキャリアのホール移動度は複数の理論予測と定量的に比較・検討された。イオン電荷の遮蔽距離(Screening length)についても考察し、現存のモデルの問題点を明らかにした。又、我々の解析結果がこれまで発表されてきた理論モデルの成立する条件を明らかにしたため、補償比が0.6以下の試料に限ってだが、補償比を移動度測定から正確に決定する方法を確立した。現在は、補償比が0.6以上の試料についての解析およびモデル構築を行っている。本研究は強く補償された半導体中のイオン化不純物散乱を定量的に解析した初めてのケースであり、現在、論文発表を行う準備を進めている。 又、申請時には1996年度中に遠赤外線を用いた反射・透過測定を行う予定でいたが、1996年度中旬には慶應に設置される予定であった高解像度赤外線分光器の搬入が1996年末まで遅れたため、測定を開始して間もないのが現状である。ここではバンドギャップの乱れや、不純物準位のイオン化不純物の電界による広がり(スタルク効果)を解明する事を目標に実験を進めている。
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Research Products
(2 results)