1996 Fiscal Year Annual Research Report
スピネル型銅硫化物における反強磁性スピン相関と超伝導の核磁気共鳴法による研究
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08740259
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
古川 裕次 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50280863)
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Keywords | 核磁気共鳴 / スピネル型銅硫化物 / 反強磁性スピンゆらぎ / 超伝導 / 核スピン格子緩和時間 |
Research Abstract |
帯磁率に反強磁性的ピーク(T_N=17-19.5K for x=0-0.5)を示し、低温で超伝導転移(T_C=0-4K for x=0-0.5)を起こすことが知られているスピネル型銅硫化物Cu_<1+x>Co_<2-x>S_4を対象にして、(I)常磁性状態においてCu及びCoの各サイトの磁気状態の組成(x)による変化を系統的に探求する(II)超伝導状態のク-パ-対の対称性を明らかにする、ことを主な目的として、核磁気共鳴法を用いて微視的な立場から実験研究を行った。 その結果、(1) x=0〜0.5の組成領域では、温度減少に伴いstaggered帯磁率の増大に起因して、^<63>Cu及び^<59>Co核のスピン格子緩和率(T_1T)^<-1>が増大することを明らかにした。さらに、超伝導T_Cが高いほどstaggered帯磁率に大きな増大が見られることから、超伝導と反強磁性スピンゆらぎの間に強い相関が存在することを明らかにした。(2) x=-0.5〜0のCo rich領域では、uniform帯磁率及びstaggered帯磁率に顕著な温度依存性がないことを明らかにした。(3) x=-1のCoCo_2S_4において、A-siteのCoがCo^<2+>(S=3/2)、B-siteのCoがCo^<3+>(S=0)の電子状態をとること、また、uniform帯磁率がキューリ-・ワイス的な温度依存性を示すことが明らかとなった。さらに、60K付近で^<59>CoのT_1及びナイトシフトKが急激に減少することを明らかにし、構造相転移の可能性を指摘した。(4)スピネル化合物の磁気的特徴を明らかにするために、典型的な反強磁性絶縁体CoCo_2O_4 (T_N=34K)を対象にNMRを行った結果、A-site (Co^<2+> ; S=3/2)及びB-site (Co^<3+> ; S=0)の電子状態は、結晶場理論の範疇でよく理解できることが明らかとなった。 最後に、超伝導状態のク-パ-対の対称性に関しては、^3He冷凍機を用いて低温での^<63>Cu及び^<59>Co核のスピン格子緩和時間及びナイトシフトの測定を現在行っており、その結果から、その対称性を明らかにすることが出来ると期待される。
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Research Products
(1 results)