1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08740295
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松井 広志 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助手 (30275292)
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Keywords | マイクロ波 / ミリ波 / サイクロトロン共鳴 / 低温 / 表面インピーダンス / フェルミ面 |
Research Abstract |
本研究計画により、^3He、^4Heクライオスタット、及び、超伝導磁石を用いて0.5K,15Tまでのマイクロ波測定が可能になった。低温強磁場下で、幾つかの方法によりマイクロ波実験が行え、目的に合わせた測定ができる。本研究で購入した方向性結合器を用いれば、矩形導波管一本で反射の測定ができる。反射測定の周波数領域は、16〜50GHzであり、透過の場合は16〜110GHzである。現有のマイクロ波発信、及び受信機は従来型装置と異なり、ベクトル情報が得られる。つまり、透過、或いは反射の振幅と位相が同時に得られる。これらは、それぞれ表面抵抗、表面リアクタンスに相当する。その他の特徴として、低入力パワーのため、発熱の問題が無く低温実験に有利である。 本研究期間で、Kバンド用透過インサート、Kバンド矩形導波管を改良して試作した空洞共振器、他に、最高100GHzまでカバーできる5種類の円筒形空洞共振器を製作した。これらを用いて、InGaAs/InAlAs多重量子井戸構造のサイクロトロン共鳴を観測した。高磁場側に磁場中量子振動が観測され、系統的な実験を行い、有効質量、周波数依存性が測定できた。マイクロ波により半導体超格子のフェルミ面研究を行った最初の例といえる。また、有機伝導体(BEDT-TTF)_2NH_4Hg(SCN)_4において、サイクロトロン共鳴が観測でき、2次元のシリンダー状フェルミ面とワープした1次元シートに起因した2種類の共鳴が得られた。今後さらに、他の有機伝導体でマイクロ波実験を行っていく計画である。最近、少数キャリアー系の重い電子系として知られるYb_4As_3でもマイクロ波測定を進めており、多くの研究グループと共同研究が進められるようになった。
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[Publications] H. Matui et. al.: "Transport Properties in InP/InAlAs Type II Single Hetelostructa" Jpn. J. Appl. Phys.(1997)
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[Publications] H. Matsui et. al.: "Observation of Quantum Oscillation in In_<0.53>Ga_<0.47>As/In_<0.52>Al_<0.48>As MQW by Millimeter Wave Response" J. Phys. Soc. Jpn.(1997)