1996 Fiscal Year Annual Research Report
Mn系1次元反強磁性体の励起状態における量子効果の研究
Project/Area Number |
08740299
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
神戸 高志 岡山大学, 理学部, 助手 (00277386)
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Keywords | 1次元 / 反強磁性体 / マンガン / テトラメチルアンモニウムマンガントリクロライド |
Research Abstract |
マンガンを磁性イオンとして含む擬1次元反強磁性体(CH_3)_4NMnBr_3(以下ではTMMB)及びこれと類似物質の良質な単結晶試料を水溶法(蒸発法)によって作製した。TMMBの試料作製には数ヶ月間を必要としたが、比熱や中性子散乱の測定に必要な0.5〜1cc 程度の試料を得ている。また、TMMBでは常磁性相と秩序相での磁化の温度、磁場依存性をSQUID磁気測定システムを用いて行った。鎖軸に平行に磁場を加えた場合には反強磁性相から弱強磁性相へ1次転移的な相転移が約5500Gauss の磁場で起こるが、その際のヒステリシスは20Gauss の幅の範囲にも観測されないことがわかった。また、室温における電子スピン共鳴(ESR)の測定では、メインの吸収線の吸収線幅の角度依存性に線幅が極小となるマジックアングルが観測され、これとは別に△ M=±2の遷移に対応するサテライト吸収線も観測された。これらの結果は擬1次元磁性体に特徴的な振舞いであり、本物質においては初めて確認されたものである。今後は結晶育成した0.5〜1cc 程度のTMMBの試料を用いて、強磁場・極低温での磁気比熱の測定を分子科学研究所の協力で行い、特に1次元鎖に垂直な磁場の下での磁気相図を作成する予定である。また、TMMBでは140K近傍で構造相転移を起こした後の低温の結晶構造はまだ確定していない。岡山大学自然科学研究科付属の低温X線構造解析装置を用いて、結晶構造を決定する予定である。得られた結晶構造の結果をもとに中性子散乱実験による磁気構造の測定を行う予定である。
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