1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08740345
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
松岡 千博 愛媛大学, 理学部, 助手 (10270266)
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Keywords | Viscous fingering / Reaction-diffusion / GMRES / Bifurcation phenomena / Elastic liquids / Pattern |
Research Abstract |
非平衡系におけるパターンの時間発展に関する研究として、非一様反応拡散系における非線形活性波の屈折と、粘性指状体(viscous fingering)の分岐現象について解析を行った。 反応拡散系は、生物学的興奮組織(神経系)や化学反応系における様々な不安定現象を解析するモデル方程式として重要である。特に現実の自然界におけるこれらの現象には、必ず何らかの非一様性が存在するが、これまで非一様反応拡散系における波の伝播はほとんど調べられてこなかった。本研究では、2次元2成分反応拡散方程式を基本方程式として採用し、濃度の極端に違う媒質中における非線形活性波の屈折について数値解析を行った。その結果、入射領域における波の速度が透過領域における波の速度よりも大きい時には、Snellの法則が成り立っていることが確かめられた。また、入射領域の速度の方が小さい時には、系が双安定状態から興奮状態へと遷移し、透過領域に入射波とは全く別の形状をもった新たな波が生じることがわかった。 放射状Hele-Shaw cellにおいて、グリセリンや高分子溶液などの高粘性流体を空気で置換すると境界の分岐現象がおこる(viscous fingering)。非平衡系におけるパターンの時間発展に関するもうひとつの研究として、viscous fingeringにおける分岐現象の解析を行った。本研究では、境界における系のエネルギー変分を考察することによって、境界条件そのものの不安定性とそれによって生じるfingerの分岐のメカニズムを明らかにした。解析ではまず、境界面の無限小変位を考え、その変位に要する仕事を計算した。この仮想仕事における第一変分から、境界における流体の圧力は表面張力に比例する、というよく知られた境界の熱力学的平衡条件式が得られる。分岐後の境界のふるまいを見るために、第二変分まで計算し、その極値化を行った。その結果、第一変分から定まった境界の形状は不安定であり、初期に円から出発したとしても、放射状Hele-Shaw cellにおけるfingerは分岐を起こし、分岐後はfingerの進行方向が変わるという実験的事実が確かめられた。
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[Publications] H.Yamada,C.Matsuoka,A.Yoshimori: "Refraction of active waves in reaction-diffusion media" Physics Letters A. 210. 189-194 (1996)
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[Publications] T.Iizuka,H.Amie,T.Hasegawa,C.Matsuoka: "Numerical studies on scattering of the NLS soliton due to an impurity" Physics Letters A. 220. 97-101 (1996)
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[Publications] C.Matsuoka,M.Sugii,T.Iizuka,T.Hasegawa: "Numerical studies on refraction of active waves in reaction-diffusion media" Physics Letters A. (掲載予定). (1997)
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[Publications] 松岡千博: "Viscous fingeringにおける分岐現象" 数理解析研究所講究録. (印刷中). (1997)
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[Publications] 松岡千博: "Viscous fingeringにおける分岐現象" ながれ. 6月号(印刷中). (1997)
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[Publications] 松岡千博: "弾性液体における分岐現象" 物性研究. (印刷中). (1997)