1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08740374
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
熊倉 俊郎 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (00272865)
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Keywords | 日本海 / 海洋数値シミュレーション / 降雪 / 大気海洋相互作用 |
Research Abstract |
日本海側の降雪は冬の冷たい北西季節風の風速と気温、さらに日本海の海面水温(SST)分布に支配されていると考えられるが、日本海の海洋観測は大変疎であり冬季は海況の悪さゆえさらに観測事例は少ない。そこで、日本海全体の海洋挙動を見るために力学ベースの海洋シミュレーションを適用した。境界条件は対馬海流からの流入と津軽海峡・宗谷海峡からの流出を考慮し、地形は日本海の地形を1/3度メッシュで再現したものを使用した。数値モデルはGeophysical Fluid Dynamics LaboratoryのModular Ocean Model2を使用した。Japan Oceanographic Data Center(JODC)の編纂したCDTによる観測データから作製した夏・冬の初期値を用いて戸別には季節持続数値実験を行い、ほぼ現実に即して再現できた。しかし、季節変化のある実験には、上面境界からの強制力が重要と考え、上面境界での相互作用の事例として、海面を2度グリッドに分割た各海域でJODCによる29年間のSST観測データを統計処理し、長岡での各年の最大積雪深(S_<max>)との相関を調べた。長岡のS_<max>は日本海のモンスーンインデックスと高い相関があることから、これらはSSTと季節風強度の関係を見ていることとなる。冬季(12,1,2月)のSSTとはどの海域も比較的大きな負の相関が現われ、秋季(9,10,11月)のSSTとはほとんど良い相関が得られなかった。これは冬の季節風の噴き出しがSSTの下降にかなりの影響を与えていることを示唆する。しかし、相関の大きさと回帰直線の傾きはどの海域も異なっており、SSTの高い海域で高相関である。これは季節内SST分布がS_<max>に影響を与えているためと考えられる。これらより、季節内SSTと大気間は大気への熱フラックスで考慮すればほぼ良いが、積雪現象を考慮する際にはSST分布が降雪に与える影響も重要であることを示唆する。よって、水蒸気フラックスの考慮のみならずSST分布の4次元同化が必要である可能性が考えられる。
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[Publications] 熊倉俊郎、早川典生、細山田得三、播磨隆: "モジュラーオーシャンモデル(MOM2)を用いた日本海の海洋循環シミュレーション" 第4回土木学会地球環境シンポジウム講演集. 147-152 (1996)
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[Publications] 武井正幸、細山田得三、熊倉俊郎、早川典生: "日本海の海洋構造-広域的なデータ解析及び全球型数値モデル-" 第24回土木学会関東支部技術研究発表会予稿集. (1997)