1996 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーサイドバンド法によるメチレンラジカル類の遠赤外分光
Project/Area Number |
08740470
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
尾関 博之 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70260031)
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Keywords | レーザーサイドバンド法 / 遠赤外分光 / メチレンラジカル |
Research Abstract |
本研究においては、まず現状の遠赤外レーザーサイドバンド分光器の基本性能を確認し、測定可能な周波数範囲を拡張するための装置改良を行い、その上で分光実験を行うという方針を立てて研究を行った。第一に基本性能であるが、現状で分光実験ができる2500GHz帯で行うこととし、一酸化炭素のJ=22-21の吸収線(周波数2528.172GHz)を用いて評価した。この吸収線の吸収係数は0.04cm^<-1>である。その結果スペクトルが時定数100msで信号雑音比にして約1000で測定できた。このことから、時定数1秒での測定可能な吸収変化の最小値はおおよそ8×10^<-4>であることがわかった。我々がマイクロ波領域で測定したメチレンラジカルのスペクトルは遷移周波数70GHzで信号雑音比が約30であった。これはマイクロ波分光器の最小検出感度を基に吸収変化量に直すと6×10^<-6>である。この値を用いると、マイクロ波分光と同じ生成条件で2500GHz帯でメチレンラジカルの吸収スペクトルを測定した場合、期待される吸収量は7.8×10^<-3>となり現状の分光器での信号雑音比は約10と見積もられる。このように感度的にはある程度満たしていることがわかったので、二番目の課題である測定可能な周波数範囲の拡大に取り組むこととした。これは遠赤外レーザーの発振線を変えることによって実現する。そのためにCH_2F_2、重水素化メタメール、重水素化蟻酸等を購入し導波管型遠赤外レーザーの発振管内への試料導入系を整備した。現在850GHz、1050GHz、1330GHzでの発振を試みており弱いながらもレーザー発振を確認したところである。しかし波長可変にするための周波数混合器への入力としてはまだ不十分であり、できるだけ早期にこの点を解決し、分光光源として用いることができるようにしていく予定である。
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