1996 Fiscal Year Annual Research Report
14族重元素(ケイ素・ゲルマニウム)置換トリプチセン類の合成と物性の研究
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08740483
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
高橋 昌己 茨城大学, 機器分析センター, 助教授 (80226886)
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Keywords | ジシラトリプチセン / ゲルマシラトリプチセン / o-トリメチルシリルフェニルリチウム / (o-ヨードフェニル)ゲルマン / ヨードジシラトリプチセン / ヒドロシリル基 / ヨードシリル基 |
Research Abstract |
本研究では、以下の3点について検討を行い、表題研究における基礎的な知見を得た。 1.9,10-ジシラトリプチセンの化学変換反応の検討 既に開発した合成法により、橋頭位にヒドロシリル基を有するジシラトリプチセン類(1)を合成し、a)1の光および熱反応,b)1のヒドロシリル基のハロゲン化反応によるヨードジシラトリプチセン類(2)の合成、c)2のヨードシリル基のアルキル基,フィニル基,ヒドロキシル基への変換反応について検討した。a)ではジシラトリプチセンが熱的・光化学的に安定であることが明らかになり、b)では目的とするヨードジシラトリプチセン類の合成が高収率で達成でき、c)では有機リチウム試剤の利用により、目的とする置換基の導入に成功した。これらの知見は表題化合物への各種の置換基の導入が可能であることを示唆している。 2.9-ゲルマ-10-シラトリプチセン(3)合成の検討 ジシラトリプチセンに続くゲルマニウム類似体として3の合成を試みた。3の前駆体であるトリス(o-ヨードフェニル)ゲルマン類(4)の合成は、ベンザイン副生に悩まされるo-ヨードフェニルリチウムの使用を避け、ヨード基の代わりにトリメチルシリル基を有するo-トリメチルシリルフェニルリチウム(5)を利用し、5をテトラエトキシゲルマンと反応させ、得られた化合物のトリメチルシリル基を一塩化ヨウ素によりヨード基とする方法を用いて達成した。目的化合物(3)の合成は、前駆体(4)をリチオ化し、トリクロロシラン類と反応させることで達成した。この方法は各種の3が得られる可能性を示している。 3.14族重元素置換トンリプチセン類の分光学的性質 1、2で得られた化合物の^1H-,^<13>C-NMRの化学シフト,電子スペクトルの吸収波長を検討し、この化合物群の分子内の3つのベンゼン環がトリプチセンよりも電子的に大きく相互作用していることが明らかとなった。 現在、この化合物群の構造解析・性質についてさらに検討中であり、上記結果の投稿を準備している。
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