1996 Fiscal Year Annual Research Report
化学センサー感応膜としての寒天支持型脂質二分子膜のin situ表面観察
Project/Area Number |
08740569
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
宇都 正幸 北見工業大学, 地域共同研究センター, 助教授 (10201956)
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Keywords | 化学センサー / 感応膜 / 脂質二分子膜 / 膜面積 |
Research Abstract |
これまでの研究で,支持電解質を含む寒天上に人工の脂質二分子膜を形成し,膜に包埋した有機試薬と金属イオンとの錯形成による膜のイオン透過性変化を観測できることを明らかにしてきたが,データのバラツキが大きいという問題点があった.これは,形成した人工脂質二分子膜の膜面積を正確に把握できていなかったためであり,膜のイオン透過性変化を電気化学的に計測しながら膜表面を観察し,面積を測定することを試みた. 直径0.1〜0.2mmの脂質膜を観察するための顕微鏡(オリンパス:実体顕微鏡SZ-60,本研究費で購入),光源部(現有設備)とデータ記録のためのCCDカメラ装置(島津:CCD-S1),モニター(ソニー:KV-21GP2),ビデオ記録装置(ソニー:WV-H3NTSC)(本研究費で購入)を組み合わせ,寒天支持型脂質二分子膜の形成を行い,画像データとして記録することに成功した.脂質/ヘキサン溶液を展開したテフロン膜表面は光の干渉により虹色の輝きを持ち,小孔は初めは鈍く光る明るいグレー色に見えた.時間の経過とともに小孔中に黒い部分が現れた.15分から30分で小孔中央部に小孔面積の約60%が黒膜化した部分と周囲の明るいグレー部分とが観察され,小孔中に二分子膜と脂質/ヘキサン溶液層が存在することが確認された.観察中に瞬時に小孔すべてが黒くなると同時に計測電流が一挙に増大する現象も観察された.これは,膜形成に失敗し小孔のイオン透過性が一挙に増大したためと考えられる.光学的観察を行いながら,脂質二分子膜を隔てて設置された電極間に流れる電流を計測し,膜のイオン透過性変化を観測することが可能となった.これによって単位面積あたりのイオン透過量を算出し,化学センサー感応膜としての脂質二分子膜の信号変換能を定量的に解析することができると期待できる. これらの成果の一部は日本分析化学会第58回討論会(平成9年5月)で発表予定である.
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