1996 Fiscal Year Annual Research Report
一次細胞壁構築過程で働くキシログルカン代謝関連酵素の精製
Project/Area Number |
08740623
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岡本 繁久 鹿児島大学, 教養部, 講師 (30211808)
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Keywords | 一次細胞壁 / キシログルカン / 酵素 / EXGT / BY-2 |
Research Abstract |
キシログルカン多糖は、細胞壁中でセルロース微繊維を繋ぎ止める架橋として働く。エンド型キシログルカン転移酵素(EXGT)は、このキシログルカン架橋の掛け換えを行う酵素であり、最近になり大きな遺伝子ファミリーを形成していることが明らかとなった。このことから、これら遺伝子の産物は細胞壁中で起こる様々なキシログルカン代謝に関わり、その代謝を通じて細胞壁構築に寄与していると考えられている。 本研究の目的は、一次細胞壁構築過程におけるEXGT酵素群の働きを明らかにすることである。そのため、抗アズキEXGT抗体への反応性を指標として、タバコ培養細胞BY-2の細胞壁に存在するEXGT酵素群の精製と性格付けを試みた。まず、二次元電気泳動とイムノブロット法を併用した実験により、BY-2の細胞壁には13種類の糖鎖を持つEXGT様タンパク質が存在することが明らかとなった。さらに、得られた細胞壁タンパク質を出発材料として精製を進めたところ、分子量約35kDaの2種類のタンパク質の精製に成功した。このうちの一つは等電点が約9.0であり、キシログルカン分子の繋ぎ換え反応と加水分解反応の両方を触媒できることが明らかになった。また、このタンパク質のN末端のアミノ酸配列20残基を解読したところ、既に我々が単離していたタバコEXGT-N1 cDNAの推定アミノ酸配列と完全に一致した。以上の結果から、(1)一次細胞壁の構築過程においても多数のEXGT酵素群が働いていること、(2)その内の一つはEXGT-N1であること、(3)EXGT-N1はキシログルカンの転移反応に加えて加水分解としても機能しうることが明らかとなった。
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