1996 Fiscal Year Annual Research Report
等脚甲殻類における「体性運動-心臓機能」促進性連関の中枢細胞機構
Project/Area Number |
08740654
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
田中 浩輔 杏林大学, 医学部, 講師 (50236585)
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Keywords | 等脚甲殻類 / 心臓促進反射 / 心臓興奮ニューロン / 心臓抑制ニューロン / 付属肢 / 機械自己受容器 / モノアミン作動性神経 / コリン作動性神経 |
Research Abstract |
等脚甲殻類オオグソクムシの心臓拍動は、様々な動物運動時に促進される。この心拍促進は、心臓興奮(CA)ニューロン活動の活性化と心臓抑制(CI)ニューロン活動の抑制により引き起こされる。CIニューロン細胞体は胸部第1神経節(TG1)に、CAニューロン細胞体は、TG2およびTG3に存在する。両ニューロンから細胞内および細胞外誘導法によりニューロンの活動記録し以下のことを明かとした。 1.歩脚や遊泳肢への自発的運動時にはCAニューロンインパルス頻度を増大させ、CIニューロンインパルス頻度を減少させた。2.胸部および腹部神経節の各神経節神経の求心性刺激は、CAニューロンにEPSPを、CIニューロンにIPSPを惹起した。3.歩脚および遊泳肢の人工的運動は、CAニューロンにEPSPを惹起した。4.腹髄下動脈潅流による薬物投与により、CAニューロンは、モノアミン類で興奮した。アセチルコリンの単独投与は、CAニューロンを興奮できなかったが、エゼリン前処理により、アセチルコリン投与はCAニューロンを興奮した。5.TG2およびTG3のツボクラリン潅流は、末梢神経の求心性刺激によるCA興奮を抑圧した。6.TG2およびTG3のクロルプロマジン潅流は、縦連合神経刺激によるCA興奮を抑圧した。 これらの結果から、以下のことが推測された。動物運動時の心臓促進は、脳神経節およびTG1からCAニューロンを興奮させ、CIニューロンを抑制する回路(1)と末梢の機械自己受容器からCAニューロンを興奮させる回路(2)が関わっている。回路(1)には、ドーパミン作動性ニューロンが関わっている。一方、回路(2)は、コリン作動性ニューロンが関わっている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Yazawa,K.Tanaka et al.: "Pharmacological and HPLC studies for determining the excitatory transmitter in the heart of the isopod crustacean,Bathynomus doederleini." 法政大学紀要. (in press). (1997)
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[Publications] K.Tanaka et al.: "Neuronal control of cardiac output in the isopd crustacean,Bathynomus doederleini,In Basic Neuroscience in Invertebratesed.by H.Koike et al." Japan Scientific Societies Press,Tokyo, 341-354 (1996)