1996 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光性ATPアナログを用いた筋収縮中のATP加水分解反応の顕微解析
Project/Area Number |
08740655
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
白川 伊吹 帝京大学, 医学部, 助手 (80236190)
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Keywords | 蛍光性ATPアナログ / 筋収縮 / ATP加水分解 |
Research Abstract |
筋収縮はATPの加水分解により放出される化学エネルギーを非常に高い効率で力学エネルギーに変換する過程である。メカノケミカルカップリングの機構はその中心課題であるが、ATPの加水分解反応の直接測定が困難なため力学反応と直接比較することが困難であった。本研究では、蛍光ATPアナログを用いて筋原線維の収縮中のATPの加水分解反応を顕微鏡下に可視化し、ATPase rateを筋収縮と同時に直接的に測定した。 1.試料および試薬:ウサギ腸腰筋のグリセリン筋をrigor溶液中でポリトロンにより破砕して筋原線維を得た。蛍光ATPアナログは、ATPのリボースにCy3を導入したCy3-EDA-ATPを用いた。 2.ATP加水分解反応及び力学的反応の記録と解析:ガラス微小針を水圧マニピュレーターで操作して1本の筋原線維の両端を保持した。Cy3-EDA-ATPはミオシンに特異的に結合して筋原線維のA帯に蛍光が観察される。蛍光像はSITカメラと画像処理装置をかいしてパソコンに記録した。Caged-ATPをキセノンランプのパルス光により光分解することでATPを急速投与した。Cy3-EDA-ATPに対して過剰のATPが存在することになるので、蛍光ATPが加水分解されて解離した後には無蛍光のATPが結合して、筋原線維の蛍光はATP turnover rateを反映して減衰していく。蛍光強度の減衰を回帰解析して置換速度を得た。等尺性収縮時のATP turnover rateは8度で0.3/sであった。一方のガラス微小針の基部の圧電素子にCaged-ATPの光分解と同時に変位を与えて、筋原線維を様々な速度で等速度短縮させた。置換速度は50%Vmaxで0.7/sまで増加し、それ以上に短縮速度を増すと減少した。上記の実験によりATP加水分解の律速段階の速度が力学的負荷に応じて変化することが直接確認できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 白川伊吹: "弾性ひすみが負のクロスブリッジからのヌクレオチド遊離速度" 生物物理. 36巻supplement. S20- (1996)
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[Publications] I.SHIRAKAWA: "Studies of ATP turnover in contracting muscie myofibrils using a fluorescent ATP analog" Journal of muscle research and cell motility. vol 18(未定). (1997)