1996 Fiscal Year Annual Research Report
介形虫類の幼個体の感覚子孔に基づく科レベルの系統関係の考察
Project/Area Number |
08740659
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚越 哲 東京大学, 総合研究博物館, 助手 (90212050)
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Keywords | 介形虫類 / 個体発生 / 系統分類 |
Research Abstract |
介形虫類の背甲部に開口する感覚子孔の分布パタンは、種ごとに独立であることが知られており、これまで脱皮による個体発生後期(最終齢とその前3段階)の分布パタンの比較により、種レベルでの系統関係が考察されてきた。 本研究では、Podocopina(亜目)介形虫類のうち4科7種、すなわち、Leptocytheridae(以下LE):Callistocythere pumila,Ishizakiella supralittoralis,Cytheridae(以下CY):Cythere schornikovi,Spinileberis quadriaculeata; Loxoconchidae(以下LO):Loxoconcha japonica,Cytheromorpha acupuncutata;Xestoleberididae(以下XE):Xestoleberis sp.について、幼体初期(第1齢から第4齢)の感覚子孔の分布パタンの配列を特定することに成功した。初期幼体標本は100μm前後と極めて微少であるため、これまで観察がなされていなかったが、これまでの野外研究データの蓄積から、繋殖時期を特定して採集し、あるいは実験室内で飼育して初期幼体標本を集めた。このようにして得た幼体標本は、乾燥させたのちSEMによって表面に開口する感覚子孔の配列が観察され、記録された。 この結果、第1齢では、4科すべて共通の分布パタンであるが、第2齢では、XEが単独の分布パタンをとり、他は共通、第3齢では、LEとCYが共通でLOとXEとはそれぞれ独立した分布パタンをとる。第4齢では、4科すべてが独立の分布パタンをとり、科レベルでの系統関係に明確な示唆を得ることができた。 介形虫類を含め甲殻類の科間の系統関係は、中間形質を欠くため、これまで検討が困難であったが、感覚子孔を用いることによって具体的かつ準定量的にこれを提示することができた。この結果は分子系統学的な手法と対比させて十分に検討される価値がある。
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