1996 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドギャップ銀カルコパイライトの多元蒸着法によるエピタキシャル成長
Project/Area Number |
08750014
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坪井 望 新潟大学, 工学部, 講師 (70217371)
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Keywords | カルコパイライト / 化合物半導体 / エピタキシャル成長 / 二硫化銀アルミニウムガリウム / 多元蒸着法 |
Research Abstract |
直接遷移型カルコパイライトAgGaS_2およびAgAIS_2は格子定数差0.9%で、禁制帯幅がそれぞれ2.7eVおよび3.1eVと報告されてることから、AgAI_XGa_<1-X>S_2系は短波長発光素子材料として期待される。この系のエピタキシャル成長は、CBE法および申請者らによるAg、Ga、Sの三元蒸着法を用いたGaAs(100)上でのAgGaS_2の報告があるだけで、混晶ではバルク結晶成長の報告もない。本研究の目的は、多元蒸着装置を作製してAgAIS_2およびAgAl_XGa_<1-X>S_2のエピタキシャル成長が可能かどうかを明らかにし、この結果を基に積層構造を作製して光励起によるレーザ発振を試みることである。本研究ではまず、既存のAgGaS_2の三源蒸着装置を改造してAI蒸着源を加え、AgAI_XGa_<1-X>S_2系の多元蒸着装置を作製した。次に、この装置でAgGaS_2エピタキシャル成長が可能なことを明らかにした後、このデータを基にAgAIS_2およびAgAI_XGa_<1-X>S_2成長を石英ガラスおよびGaAs基板上で試みた。X線回折、EPMA、透過、反射、PLスペクトルの測定結果より、Ag、AIGa、Sの各蒸着源温度がそれぞれ1020℃、700〜850℃、800℃、90〜100℃、基板温度600℃で_Xが0〜0.2のAgAI_XGa_<1-X>S_2混晶層が得られることがわかった。混晶層は励起子発光が観測されたことから光学的に良質であると思われるが、AgGaS_2の場合とは異なりa軸方向への配向も混在していた。現段階ではxが0.2より大きい混晶層およびAgAIS_2層は得られていない。比較のためヨウ素輸送法でバルクのAgAIS_2およびAgAI_XGa_<1-X>S_2結晶成長を試みたところ、全組成範囲で単結晶が成長できた。銅カルコパイライト半導体のエピタキシャル成長では化学量論組成制御の重要性が指摘されていることから、今後原料供給比についてさらに検討していく必要があると思われる。
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