1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750090
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
梶原 健司 同志社大学, 工学部, 専任講師 (40268115)
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Keywords | 非線形可積分系 / 差分方程式 / パンルベ方程式 |
Research Abstract |
本研究においては(1)離散型パンルベ方程式のさまざまな厳密解を構成し、対応するγ函数の構造を調べる、(2)γ函数を介して離散型パンルベ方程式のHamilton形式を構成する、という2点を研究し、次の結果を得た。 1.第2種の離散型パンルベ方程式の有理解を構成した。それらはLaguerre多項式を要素とするある行列式を用いて表現され、連続極限で第2種のパンルベ方程式の有理解に対するDevisme多項目表示に帰着する。(Physics Letters Aに投稿中) 2.第4種の離散型パンルベ方程式の特殊函数解および有理解を構成し、それらがそれぞれHermite-Weber函数およびHermite多項式の離散版とみなせる函数を要素とする行列式を用いて表現され、さらに連続極限で第4種のパンルベ方程式の解に離着することを示した。ただし、既知の離散型パンルベ方程式と異なり、行列式表示において連続極限で消えてしまうパラメータが本質的な役割を果たしている。(Proceedings of Conference on Symmetries and Integrability of Difference Equations,Eds. by F.Nijhoff and P.Clarkson,Cambridge University Press (1997)にて出版予定)さらに、上記研究の副産物として、 3.離散型パンルベ方程式の再を構成する上で重要な役割を果たす「Singularity Confinerment」の手法を偏差分方程式に適用することにより、偏差分方程式の解に構成が容易に行なえることを示した(Physics Letters A(1997)にて出版予定)。さらに、この手法を用いてDiscrete Relativistic Toda Lattice方程式の広いクラスの解を構成した(投稿準備中)。 という結果を得た。これらの結果のうち、特に2.の結果は予測を裏切るものであり、このことから果たして離散系においてHamiltonianという概念がどこまで本質的なものであり得るのか、根本的な疑いを持つに到った。従って、今後テーマ(2)はHamiltonianという概念に代わる対象の構築など、修正することも含めてさらに検討を要するであろう。しかし、離散系の世界は連続系より豊富な構造を内包していることは解の多様性を見ても明らかなことであり、今後とも方程式レベルを統括する一般的な概念を抽出することは重要な課題であると思われる。
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Research Products
(1 results)