1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 健司 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (50251351)
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Keywords | マイクロマシン / 凝着力 / 摩擦力 / スケール効果 / ファンデルワールス力 / メニスカス力 / 表面エネルギー / 表面粗さ |
Research Abstract |
マイクロマシンの摩擦は、従来の機械に比べて荷重や接触面積が極端に小さくなり、通常の摩擦法則が成り立たなくなることが知られている。その原因は、寸法が小さくなると物体の表面間に働く凝着力が摩擦に大きな影響を及ぼすようになるためと考えられる。凝着力の原因は、ファンデルワールス力、物体表面に吸着したした水によるメニスカス力、静電力などが考えられる。そこで、微小スケールにおいて凝着力摩擦力に及ぼす影響を調べるために、球面と平面の間に働く凝着力、摩擦力の評価装置の設計、製作を行った。平面試料には、マイクロマシン材料として多用される単結晶シリコンを用い、球面には先端半径が、2,10,100μmのダイヤモンドピンを用いた。微小な凝着力、摩擦力の検出は、平行板ばねのたわみを静電容量型変位センサで計測することにより行った。板ばねのばね定数、固有振動数を適切に選ぶことにより、0.1μNから2000μNまでの力を測定できるようにした。摩擦駆動にはピエゾアクチュエータと弾性ステージを用いて、バックラッシュのないなめらかな運動を実現した。また、環境湿度の影響を調べるため、装置全体を密閉容器内に入れ、湿度発生装置により容器内の湿度を20%〜80%までの任意の値に設定きるようにした。製作した摩擦力評価装置を用いて摩擦力・凝着力の測定を行い、以下の結果を得た。 1ダイヤモンドピンの先端曲率半径が大きくなるほど凝着力が増加した。 2摩擦速度が0.16μm/s以下の場合には低荷重になるほど摩擦係数が増大した。これは凝着力の影響と考えられる。 摩擦速度が大きくなると、逆に低荷重になるほど摩擦係数が減少する傾向が見られた。また、摩擦中に摩擦力の変動が見られた。
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