1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750261
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藪野 浩司 筑波大学, 物理工学系, 講師 (60241791)
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Keywords | 電磁力関連振動 / 電磁構造連成 / 非線形制御 / 電磁弾性座屈 |
Research Abstract |
耐電磁力構造の設計法の確立を目指した基礎研究の一環として,電磁弾性座屈の安定化制御法を構築した.提案した手法の妥当性を実験的に検証するため,電磁弾性座屈を生じる最も簡単なモデルとして知られている。電磁力を受けかつお互いに弾性支持された二リンクモデル(電磁力がある値を越えると弾性支持による復元力が見かけ上0になり座屈を起こすようなモデル)を導入し,これに生じる電磁弾性座屈の安定化を提案した制御法を用いて試みた.一般的に知られている電磁弾性座屈の大域的な特徴は以下の2点である.1.弾性力が小さい場合は比較的小さな電磁力下でも電磁弾性座屈が生じるものの座屈後において安定かつ有限な平衡状態が存在すること,(すなわち弾性力が小さい時には超臨界ピッチフォーク分岐が発生する)2.弾性力が大きい場合は大きな電磁力が加わらないと座屈は生じないが座屈後に安定な定常状態が存在せず,また大きな外乱が加わった場合には線形理論で予測される電磁力以下でも座屈が発生すること(すなわち弾性力が大きい場合には亜臨界ピッチフォーク分岐が発生する).したがって,本研究における安定化制御の目的は具体的には以下の2点である.1.弾性力が小さい場合でも大きな磁場が加わらないと座屈しないようにすること,2.弾性力が大きい場合,大きな外乱が加わっても座屈しないようにすること.これらの目的を達成するため,本研究ではノミナルな電磁力に操作量として微小な電磁力変化を加え合わせることにより制御を実行し,以下のような結果を得た.前者の目的に対しては,操作量としてリンクの変位に比例した電磁力をフィードバックしこれをノミナルな電磁力に加え合わせることにより見かけ上復元力を高めた.この結果より大きな磁場が加わらない限り座屈が発生しなくなることを理論解析により明らかにし,実験によってそれを確かめた.一方後者の目的に対しては,分岐制御を行なう必要がある.すなわち亜臨界ピッチフォーク分岐を超臨界ピッチフォーク分岐に変換するようなフィードバックを考えなければならない.このような変換を行なうためリンクの変位の3乗に比例したフィードバック制御を採用した.この結果,大きな外乱による座屈の発生が防がれることをシミュレーションによって明らかにし,実験によってそれを確認した.
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